Secret
プロローグ
同じ、夢を見る。
目を閉じれば鮮明に浮かび上がるその光景は、どれだけ手を伸ばしても変わることはなく繰り返される。
それでも何度も何度も手を伸ばす。
声が枯れても叫び続ける。
「来ちゃだめ」
「行っちゃだめ」
しかしその光景が変わることはなく、また今日も同じ最後を迎え、目を覚ます。
目を覚ますと、まだ見慣れぬ白い天井がぼやけて見え、目元に触れた指先が濡れる。
────ああ、またか。
何度見たかも分からない夢を思い出し肩を抱き俯く。あと何度同じ夢を見れば「私」は許されるのだろう。
「いかないで」
ポツリと呟いた言葉は、誰の耳に入ることもなく広い空間の中に消える。
私はベッドから降り鏡の前に立ち、真新しい制服に袖を通して胸元まである長い髪にハサミをあてる。
手に力を入れようとするがうまく入らず、手からハサミが滑り落ちる。
私は、唇をかみしめ用意してあった短髪のウィッグをかぶった。
──私はなんて愚かなのだろう。なんの覚悟もできない。弱い自分が嫌いなのに、弱さに逃げる。
私はウィッグの長い前髪で顔を隠し、部屋を出た。
目を閉じれば鮮明に浮かび上がるその光景は、どれだけ手を伸ばしても変わることはなく繰り返される。
それでも何度も何度も手を伸ばす。
声が枯れても叫び続ける。
「来ちゃだめ」
「行っちゃだめ」
しかしその光景が変わることはなく、また今日も同じ最後を迎え、目を覚ます。
目を覚ますと、まだ見慣れぬ白い天井がぼやけて見え、目元に触れた指先が濡れる。
────ああ、またか。
何度見たかも分からない夢を思い出し肩を抱き俯く。あと何度同じ夢を見れば「私」は許されるのだろう。
「いかないで」
ポツリと呟いた言葉は、誰の耳に入ることもなく広い空間の中に消える。
私はベッドから降り鏡の前に立ち、真新しい制服に袖を通して胸元まである長い髪にハサミをあてる。
手に力を入れようとするがうまく入らず、手からハサミが滑り落ちる。
私は、唇をかみしめ用意してあった短髪のウィッグをかぶった。
──私はなんて愚かなのだろう。なんの覚悟もできない。弱い自分が嫌いなのに、弱さに逃げる。
私はウィッグの長い前髪で顔を隠し、部屋を出た。
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