最強の侍は弟子をダンジョンで鍛えるそうです

ねむ

第5話

上層・11階層
10階層までとは違い、周りは土や鉱石などで出来ており、壁などに埋まっている鉱石が発光してあまり暗くはなかった。

「久しぶりのダンジョンですねクロノス様!」
「あぁ。前入ったのが半年以上前だったのかな。」
俺たちは何回かダンジョンに来たことがある。フユはまだあまりないが、俺は習い事にでも行くようにダンジョンに行っていた。
まぁ魔石を換金して生計を立ててたんだけどな、、、
だが今回入ったのはフユの鍛練のため、魔力をうまく使いながらの戦闘のためだ。
「属性はもう使っていいんですか?」
「うん。もう使ってならしながら行こうか。」

魔力には属性というものがある。基本の属性は火、水、風、土。
そこから派生していろんな属性がある。
属性は生まれつきのものでいわゆる才能だ。
属性が1つしかない人や2つある人もいる。
派生した珍しい属性を持っている人もいる。
中にはその血筋で受け継がれてきた属性もある。
フユの属性は水と水から派生した氷、風から派生した雷という3つの属性を持っている。
俺は火、水、風、氷、雷と血筋による属性がある。
また、自分に適した属性の魔法は威力が上がったり、魔力もあまり消費しない。

フユが急に声を荒げる。
「クロノス様!ミノタウルスが3体来てます!」
急な大型モンスターの集団に冷静な判断が出来ないのか、少し感情が乱れている。
「フユ、落ち着いて対処しなさい。3体といえどそれ以上の力をあなたは持っているのだから。」
と、俺はフユを落ち着かせ、優しく背中を押してやった。
それに後押しされたのかフユは一瞬笑顔になり、すぐにミノタウルスを見定め足を踏み出した。
操魔で足腰に魔力を集中させているのか、通常ではありえないほどの速度で走るフユは1番左端にいるミノタウルスに狙いを絞り、突撃する。
「ンオオオオオオォォ!!!!!」
ミノタウルスは雄叫びを上げながらフユに向かってアックスを振り下ろす。
だが、アックスは当たる事なく、フユはミノタウルスの脇を通り抜けながら斬りつける。
フユの攻撃は終わらず四方八方動き回りながら弾丸の如くミノタウルスに突っ込んで行く。
最初は1体の相手をしていたフユは次第に2体、3体と全員を相手にし始めた。
フユはミノタウルスの攻撃に当たらないよう刀でいなしたり、半身をずらして避けたりしていた。
このままじゃいっこうに終わらないと思った矢先、フユは行動を変える。
アクセル加速
フユの全身に薄く光がかかる。
その瞬間フユの速度が1段階速くなる。
「!!!?」
その速度の速さにミノタウルスは驚きを隠せず、動きが止まる。
そこを見逃すはずもなく、フユは刀に魔力を纏わせる。
「妖刀・氷雷、変幻!」
そういうと刀は黄色に変化していく。
「雷刀・雷神」
フユの動きに雷の軌跡ができミノタウルスの腕が同時・・に焼き斬れる。
「ンオオオオォォ!??」
突如斬られた腕に痛みと驚きにより声を荒げるミノタウルスは目を充血させながらフユに向かってアックスを振り下ろす。
フユはそれを軽く避けるが他のミノタウルスが横から切りかかってくる。
フユはミノタウルスの連携のとれた動きに少し驚きながらも上へと跳び回避する。
天井に着地し、すぐに横の壁へと移動する。
だがそのとき、あることに気づく。
ミノタウルスが2体しかいない!?
最初にアックスを振り下ろしたやつはどこに!?
アックスは置きっ放し、ということは、、、
フユはすぐに壁を跳躍し、反対の壁まで跳ぶ。
その直後さっきまでいた壁にミノタウルスが突進をし、大きな穴を開けていた。
ミノタウルスはアックスを使うが、1番強力な技は角による突進。
ミノタウルスは魔力を扱うことは出来ないがその時だけ、角に魔力が集中され、絶大な破壊力となる。
そんなミノタウルスに対し、フユはスピードを持って制した。
ミノタウルスが動く瞬間、フユは目で追えない速度で動く。
それにミノタウルスがついていけるはずもなく敵を見失い、立ち止まるがそれは致命的なミスだったと知る。
突如ミノタウルスの視界が反転する。
1体はわけもわからず絶命し、2体目へと雷の軌跡が伸びて行く。
視界の端で捉えた雷にむかいミノタウルスはアックスを振るうが空を切る。
直後ミノタウルスの首が上へと打ち上がる。
フユは打ち上がった首をものともせず足場として使い、3体目へと跳躍する。
そしてフユはミノタウルスに向かって手をかざし、魔法名を言う。
雷の鳥サンダーバード!」
その瞬間フユの手から雷が鳥のような形をしながら飛んで行く。
その速さはフユよりも速く、ミノタウルスに当たる。
その瞬間ミノタウルスに雷でも落ちたような爆発と爆音がなり、ミノタウルスは焼き殺された。

「やりましたよクロノス様〜!!」
ミノタウルス3体を灰へと変えたフユは元気な声で俺の元へと駆け寄る。
あんなに戦ってまだ元気なのかよ。
と、突っ込みたくなるが喉の奥へとしまい。
「よくやったね。でも少しやりすぎじょないか?」
「え〜。だってクロノス様いっつもやるなら最後までって、言ってますよね!」
「そういう最後じゃないんだけどなぁ、、、」
と、やり取りを交わし魔石を回収しにいこうと思ったら。フユが抱きついてきた。
何事かと思い振り向くと
「もっと褒めてください」
と、口を膨らませながら言ってきた。
仕方ないと思い俺はフユの頭を撫でると、フユは笑顔で
「うふふふふ」
といい、何かの余韻に浸っていた。




長い、疲れた、でも頑張った

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