ロストロリアアーツ〜十字架の記憶〜

小鳥遊 遥

姫様を探せ

────十字架使い
古来西洋に伝わる、魔導書を用いりながら戦う人々のこと。十字架に魔法を切り裂くのでその姿から十字架使いとなった。教会で単位を習得し、神父に認められたものしかなれない。十字架使いになれば力が暴発するので、制御に十字架のもの(ネックレス、指輪)などを気休めにつける人が多い。十字架使いは今のところ世界含めて10人、魔導書を使うためどんな事にも使え万能である。十字架使いは魔導師にはなりにくい、力が相反する為である。
十字架使いは一度使った土地に二度と住めない「いないモノ」として認知されるからである
力の暴発により、人々の記憶に影響を与えその十字架使いの記憶だけなくなる(魔導師の場合は消えない、魔力に耐えられない一般人のみ)







「早く魔導書出しなさいよ!」
マリアはじたんだを踏んでいた。まったく、で会ったばかりなのになんだこの仕打ちは
「おい、ここで魔導書出させる気か?」
「ええ、そうねぇ……捜索のなんかあるかしら?」

……ないことも無い、がこいつの為に動きたくない……一級魔導師に逆らったら死刑とかそんなめちゃくちゃな法律はない(罰金になるが)だから逃げるのもありだ……
だけど、何故かなつかしいような感じがする。初対面なのに、妙に馴れ馴れしいし。
このなつかしさに浸る為に知る為にもう少しだけこいつと行動しても良い。と思ってしまった。

パチンッ

俺は指を鳴らした。本当は使いたくない、使わないってもう決めたんだがな
「これが、魔導書……初めて見たわ」
「さわるなよ?いくら一級魔導師でも手が丸焦げになるぜ」
魔導書を出すのは何年ぶりだろうか、もう使えないかもしれない……
俺は十字架を握りしめた
「聖なるもの、今再び我に力をお貸しください。人々に神の御加護があらんことを───」
魔法陣が出来、周りが光で満ちていく。
少しづつ感覚を思い出し、あの頃の記憶が蘇る。身体中が熱くなり、髪が逆立つ。
そしてその魔導師は「見たくないもの」まで俺に見せた。
逃げ出した姫の記憶、理由、現在どこにいるか
「見えた、見えたくないものまで見えたが」
「……ふふっ、私の見込み通りだわ!十字架使いって事隠さない方がいいわよ!」
こいつは知らないのか、十字架使いを何故隠さなければいけないのか……
光が消えていき、何事も無かったかのように町は動き出す。そう、十字架使いは「いないモノ扱い」にされる。
多分もうこの町には居られないであろう。
あぁ、居心地良かったのに……
こんなリスクを犯してまで何故マリアに協力したのか分からない、だがここで動かないと大切なものが失われる気がして……
「もうここには住めない……はぁーどうしてくれんだよマリア」
「まぁそれは、姫様を見つけてからよ!なんとかしてあげるから!報酬はばっちり払うわよ」
当たり前だ、無かったらとんだタダ働きだ

「で、姫様はいまここにいる」
おれは地図を指差しニコリと笑った。
そしてマリアは驚きを隠せていない。





姫様は最初から逃げ出してなどいなかったのだ









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