ロストロリアアーツ〜十字架の記憶〜

小鳥遊 遥

道案内②

「貴方に道案内をお願いするわ」

地図を広げられ、意味もわからず困惑する俺を目の前にマリアはイライラしたように
「ほら!いくわよ、早く!」
と手を引いた。
「いや、何処に行きたいんだよ!?」
どんどんマリアは進んでいく、道も分からないのにどこを目指してるんだ?
「決まってるじゃない、姫様のいる所よ」
「…………は?」
俺はぱっと手を離した。
「ちょっと!痛いじゃない早く教えなさいよ」
「俺が知るわけないだろ!?」
当たり前だ、軍でも分からない逃げ出した姫さんなんぞ俺が知るはずもない!
するとマリアは顔色一つ変えず


「は?貴方、十字架使いでしょ?」


と言い放った。
「お前なんでそれを……」
まるでマリアはその事が当たり前かのように、俺が18年間隠してきた秘密をあっさりと明かしやがった。しかも町中で。
「一級魔導師なめないでよね」
「いや、だからこれは……」
どんな魔導師でも、俺が十字架使いという事が分からない。力は今出してなかったはずだ、そして完璧に隠し通していたはず。
俺はさらに困惑した、どうやって分かったんだ?
「顔色悪いわよ?大丈夫?」
「誰のせいだと思ってるんだよ……あー……」
知られたくなかった……誰にも
「もう、無理……俺引きこもりたい……」
「何寝ぼけたこと言ってんのよ、早く姫様の場所を教えなさいよ」
「だから、なんで分かったんだよ!?それだけ教えろよ!」



「だから、一級魔導師なめないでって」
マリアはなんども言ってるでしょ?といいたげな顔で面倒くさそうに呟いた。
一級魔導師でも分からないはずの俺の正体はこうも簡単にちんちくりんに見破られた。





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