ロストロリアアーツ〜十字架の記憶〜

小鳥遊 遥

王室護衛一級魔導師

「もうこれで何度目だよ……四回も落ちるとかありえねーって!」
芹沢彼方、本日四度目の魔導師採用試験に落ちた。もう、落ちる事が当たり前になりすぎてもはや、なにも苦痛など感じない。ああ、末期だなこりゃ。俺は俺の受験番号が無い貼り紙をみてため息をこぼしながら、宛も無く歩いた。
「これからどうしよかなー……バイトを増やすか?それとも……「あー!カナタくん、魔導師試験どうだった?」
野菜を売るおばちゃんことローズさんは俺を見つけると同時に食い気味に尋ねた。
今一番聞かれたくないことである、ローズさんいいひとなんだけどなぁ……ちょっとデリカシーないかもしれない!(落ちた俺が悪いが)
「あー……今年も落ちました」
俺はなるべく、悲しめな顔をして答えた。
これで話題に出さないでオーラは伝わったはず!いや、これは伝わるだろう!
「そうなのね!もう諦めたら〜!?四回も落ちたのならもう無理よ!」
ごふっ!?ローズさん……やっぱりデレカシーねー!!なんでそんな事言うんだよ!
「えっとあはは……」
俺は笑う事しかできない、いやこれ泣き笑いだけどね!?
「えーとね、実は娘が結婚適齢期でね〜」
ローズさんの態度が明らかに怪しくなった
なるほどそういう事か、結論を言おう無理だ
ローズさんの娘さんの婿になるぐらいならもういっそ、魔導師試験受からなくてもいい……
そのぐらい嫌なのだ、多分ローズさんの娘さん……いやアイツ、エリカ……
美人なのにモテないのは性格に大分問題があるという事だ。あの顔を見るだけで逃げたくなる……
俺はローズさんに他愛も無い返事をしその場を後にした。エリカと交際または婿なんてもっての他だ!俺は街中を早歩きした。
ここ、アスカ町は今日も賑やかである。
野菜、果物、生活用品は物々交換で行われ、街全体が明るくいつも人々がどこかしらで踊っていたり、酔っぱらいが若い女の人に絡んだり(これは迷惑でしかないが)と俺にとってはとても居心地がいい町だ。
────彼処とは大違いである
「うおお!?」
いきなり、人の大軍に押し流された。
なんだなんだ!?お祭りか!?
「姫様が、お逃げになったぞ!」
「探せ探せ、明日は大事な式だぞ」
なるほど、姫様逃げ出したのか
てか、この国の姫様みたこと無いな
対してなんか興味もわかないし、そもそもあまり政治に興味が無い。
「……っと!」
あー、どうしようこれから……
「ちょっと!」
今は誰にも会いたく無いな……
「ちょっとあんた!」
ん?今なんか声が聞こえたような……
「私を無視するなんて、いい度胸ね!」
声のする方に下を向くとそこには、鏡のような銀色の髪に透き通るような青い目、かなりの美少女だ……15歳ぐらいだろうか……って誰だよこいつ!
「なんだよ、ちんちくりん今は子供に構ってる暇はないんだ」
俺はローズさんや、魔導師試験の事もありカリカリしてた為15歳(推定)に当たってしまった我ながら大人気ないと思ったが15歳(推定)は引き下がらない。
「何言ってるのよ!これでも18歳よ!ちんちくりんじゃないわ!」
そして、俺に免許?らしきものを見せた
なになに……
王室護衛一級魔導師……って!はぁ!?
あの!?一級魔導師、しかも王室!?誰もが憧れるエリートじゃねーか!どんな頭、才能があればそれになれるんだよ!
「これで分かった?私に従いなさい」
少女は勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
ああめんどくさいのに捕まったと心底思った。
王室護衛一級魔導師は厄介な奴が多い。







これが、天才方向音痴少女マリアとの出会いだった。


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