スクールクエスト!

キズミ ズミ

18話 『蜂の巣にされかけて』




「うーん、うむむむむぅ・・・!ーーーーーーーーーん?」

 あれこれ呻吟しんぎんしていると、枕元に見慣れないボタンがある事に気がついた。

 ボタンの横に『押すな』と注意書きが書かれた紙がある。

「・・・押すなって言われると押したくなるメンタリズムなんなんだろうな」

 ポチっと、ためらいなく押した。ボタンは数センチほど沈み、何かの仕掛けが起動する。

「ん〜・・・。何がーーーって・・・・・・ゴエッ!?」

 まるで忍者屋敷にあるドンデン返しの様にベッドが半回転して、そこに寝そべるオレをベッドの下の空間に落とし込んだ。

 数メートル程落下して丁度良く真下のイスにボスン!と座ると尻の痛みを気にする時間も無くオレの体は無数の鎖に縛られている。

「え?え?え?え?な、ななな何が起きてんの!!?」

 部屋というプライベート空間から一転、薄暗く、しかし結構広めの空間で独り、イスに縛り付けられている、という現状は実際かなり異常事態だ。何にせよギャップが凄すぎる。

「ちょ、ケノヒカリガオカァ!?これ絶対お前の仕業だろ!!晩御飯の時間に遅れたのは謝るからこの鎖早く解いてーーー」

『10、9、8、7ーーー』

 薄暗い空間を反響して聞き慣れた平坦な声が秒数を減らしている。

「何のカウントダウン!?ってオイ、オレ何されるんだよぉ!!?」

 ガチャン!と何か硬いものが一斉に設置される音が聞こえた。暗がりに目を凝らして見てみるとーーー。

「じゅ、じゅ、じゅ、じゅ、銃!?うおおおぉ!!平和な日本にあっちゃいけないモノが今オレに向けられてるんですけどぉ!?」

 黒光りする銃口はもはや両の指で数え切れないほど存在し、しかも、そのどれもがオレに向いている。

『ーーー3、2、1、ファイアッ!』

「う、ぎゃああぁぁあぁぁあッ!!!!」

 ソレらは無慈悲に、そして予定調和的に揃って銃火炎を吐き、ハレーションの様なけたたましい光が薄暗がりの空間を鋭くあばき立てる。

 ダダダダダダダダダダダダッッッ!!!

 数十秒に渡る一斉射撃、辺りに硝煙のにおいが立ち込め、荒い息遣いが響き渡る。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁッ!!ぁあっっぶねぇ〜〜〜・・・ッッ!!」

 変わらずイスに縛り付けられ、うるさく生を主張する心臓をなだめすかしているのは他でもない、オレだ。

 オレの周りに展開されたエメラルドのベールは脅威が無くなるのを確認すると世界に溶けていく。

「ーーーーー玩具銃ガングガン、全58丁。動作不良無く、結果は良好。うん、問題ないね。さぁモリツネ。ご飯にしよう」









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