スクールクエスト!

キズミ ズミ

2話 『通知は未確認』



 広大な土地面積を持つ我が慶稜けいりょう学園を向かって西側に数分歩いた所にある無駄に大きな第2の校舎。

 そこは特別棟であり、別名、部室棟とも呼ばれる。

 入学当初は広すぎて迷子になりかけた事もある部室棟だが、既に二年生であるオレは勝手知ったる顔でリノリウムの床を踏みながらまっすぐ目的地に向かう。

 部室に入る前にノックをして、誰も居ない事を確認するとオレはガラリとドアをスライドさせた。

 突如、吹き抜ける春風が部室中を駆け巡って無造作に置かれていた書類なんかを巻き上げる。

 ーーー窓が開けっぱなし、昨日からじゃないだろうな。抜けてるように見えて如才じょさいのないアイツはそんなうっかりはしないだろう。

「・・・・・・・・・」

 オレは無駄にだだっ広い部室のわきに置かれているソファに腰を預けると、スマホを取り出して通知が来てないか確認する。

 思えば、感慨かんがい深い事だ。

 一年の頃は誇張なく、公式のアカウントと部活での業務連絡くらいしか着信を鳴らさなかったオレのスマホであるが、今は立場的に、必携のアイテムになっている。

 やはりメッセージアプリのアイコンには数字が付いていた。

 何だろうか、とアプリを起動しようとした時ーーー

「お疲れ様ーっス」

 ドアを開いたと同時に快活な声が飛び込んで来た。











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