天魔界戦
第6話 狙われたロキ
ロキのチームが転送されたのは遮蔽物が少なく、比較的見通しの良い砂漠だった。
それを見ていた観客達が哀れみの目を向け、グランは面白そうに笑う。
「どうやらロキさん達のチームは砂漠のほぼ中心に転送されたみたいですね。」
「あぁ、いきなりのピンチってやつだ。これを切り抜けられるか、周りのヤツらがチャンスを物に出来るか・・・見ものだな。」
「おいおい。これってまさか?」
「あぁ、少し面倒だな。
・・・『俺に従え』!」
ロキの周りに風が吹き荒れる。それは四人を持ち上げ、空へ舞う。
その直後、遠方から放たれた魔法の炎が下を通り過ぎる。
「もう見つかったか!」
「慌てるな。敵の位置はだいたい把握した。これなら何とかなりそうだ。」
「ん。ロキ、私が片付けてくる?」
「いや、お前達は動くな。俺に任せておけ。」
魔法の光や、吹き荒れる風により周囲の者は空を見る。
そこには宙に舞うロキ達の姿がある。
「見つけたぞ!あいつを撃ち落とせ!」
周囲の者たちは一斉に魔法を放つ。
「これは・・・・・・
全員が、幻魔法で騙されている!?」
観客からは砂漠フィールドに転送された皆が何も無い空へ向け魔法を放つ映像が映し出されていた。
「上手いな。風を操る魔法を発動させることで、攻撃を躱す際に上に逃げると言う先入観により違和感無く幻魔法を相手に見せる。
更に風のソナーで周りにいる敵の位置を完全に把握。ここから逃げるも他チームを全滅させるも可能だろう。」
「よしっ!ロキ、今の内だ!奴らを一気にやっちまおうぜ!」
「そうだな・・・。」
「?・・・ロキ、何か不安なことでも?」
「全員が幻に騙されている訳じゃ無いだろうが、まあいい。」
ロキは砂漠の砂に触れる。
「ん?な、何だ!地面が!!」
砂漠のフィールド一帯が動き出す。そして、足元が弾けそこにいるチームを打ち上げる。
「これは!『自然操作魔法』!?」
「馬鹿な!こんな大規模で?」
そこにいたチームを打ち上げた後、砂を掻き分けるように生物のような形の砂が姿を表す。
巨大なワニの頭をした砂は大きく口を開け、打ち上げた者達を喰らおうとする。
「何だと!?マズイ!このまま落下したら開始早々リタイアだぞ!」
「『ブルーストリーム』!!」
魔法で巨大な水の大砲を放つが、それより巨大な砂は少し欠けるだけで止まる様子はない。
「クソっ!どんだけ魔力を使ってるんだ!」
「いや、自然操作魔法は発動時に自然にある砂と繋がる時にのみ魔力を消費する。あとは魔法力次第だ。」
「解説してる暇があったら何とかしろ!」
多くのチームが慌てる中、状況を見極めたチームもいた。
「大きいとはいえ、ただの砂だ。ぶつかる瞬間に『魔防壁』で砂を跳ね除け着地すれば問題無い。」
ワニの口が閉じ、最終的に打ち上げられた半数が生き残る。
「ほう、思ったより残ったな。」
残った者は周りを見渡す。
「んで、奴等は逃げたのか?一人も見当たらないが。」
「いいや?すぐそこにいるさ。
地面の下にな。」
それを見ていた観客達が哀れみの目を向け、グランは面白そうに笑う。
「どうやらロキさん達のチームは砂漠のほぼ中心に転送されたみたいですね。」
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「おいおい。これってまさか?」
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・・・『俺に従え』!」
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