天魔界戦

皇神凪斗

第21話 攻め時

「魔剣デュランダルは魔力的な攻撃は出来ない・・・しかし、持ち主には不死身の身体と剣の莫大な攻撃力がある。
それを活かした戦法をゼツが教えてやったからな。」

ルルカは氷結神水の守りを見事に破る。
「!!・・・流石に魔剣二人を相手にするのは厳しいですね。」
ガブリエルは守りを崩し三人から距離をとる。
「逃がさない!『跳躍移動バウンドステップ』」
ルルカの足元に小さな魔法陣が現れる。ルルカがそれを踏むと大きく跳躍する。
そうして飛んだ先にまた魔法陣、それを踏んでまた跳躍。それを繰り返してガブリエルに急速接近できた。
「『神水』!」
ガブリエルは向かってくるルルカに神水を向ける。
「『ライジング』!」
レイジも後を追いながらルルカを引っ張り攻撃を躱す。ガブリエルは逃げるしかなく、下で戦っている人間に攻撃などする余裕は無かった。
「今が攻め時!『金剛神樹こんごうしんじゅ』!!」
メルの足元から樹木が生える。一本が数メートルの太さの樹木が絡み合い、上に伸びながら何かを形作る。
「あれは・・・木の巨人?」
現れたのはメルを肩に乗せた樹木の神像だった。
神像は拳を振りかぶりガブリエルを狙う。
「ここまで離れれば当たらないはず・・・そろそろ反撃の手を!」
そう思った瞬間ガブリエルは目撃した。神像の放った右手が大きく伸びるのを。
咄嗟に氷結神水で守りを張り、拳を防ぐ。
しかし、追いついてきたルルカが守りを粉砕。レイジが迫る。
「認めます。貴方人間達は強い。ですが・・・。」
ガブリエルは素早く神水をレイジに這わせ、手足を氷結。そのまま拘束、喉に杖を突きつける。
「こんな手は取りたくありませんが、私も負ける訳には行かないのです。」
「それは僕達も同じだよ。」
「ですがこれで終わりです。この方の命が惜しければ──────」
その瞬間、レイジの身体から雷が放出される。
拘束していたガブリエルは勿論被弾。突然の出来事に一瞬隙を見せた。
「今だ!」
メルは神像を操り、左手でレイジごとガブリエルを捕まえる。
「しまった!」
「『アース・インパクト』!!」
神像の右拳が光を放つ。大きく振りかぶり、光が次第に強くなる。
「!?・・・仲間ごと私を!?そんな事をさせるわけが!」
ガブリエルが魔法でメルを狙うが。ルルカが一瞬で魔法を掻き消す。
「はァァァァ!!」
神像の右拳が勢いよく迫る。
「悪いね。これも作戦の内だよ!『ライジング』!」
レイジは魔剣バルムンクの力で身体を雷に変え、神像の左手をすり抜ける。
「そんな!四大天使の私が!」
神像の拳が直撃。激しい光がガブリエルを包み、その身体を抉る。

遠くに飛ばされながらガブリエルの身体は光となって消えていった。


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