天魔界戦

皇神凪斗

第16話 サマエルの力

「これならどうだ?」
サマエルは溶岩の塊を殴り飛ばしてきた。
カイトは氷で盾を作り出し備える。
「いや・・・避けろ!」
アルマはカイトを退けるように横に倒す。溶岩の塊は氷を見事に粉砕して通り抜けた。
「感づいたか・・・だが安心するのはまだ速い!」
サマエルは距離を取りつつ溶岩弾を乱射する。
「カイト!もっと氷を作れ!」
「何!?さっきのを見てなかったのか?氷じゃ防げん!」
「防ぐんじゃねえ!軌道を変えるんだ!」
カイトは言われた通り大きな氷の壁を作りだす。
「『白輪 乱打』!」
アルマは両腕を強化し氷を殴る。
氷は凄まじい勢いで飛んでいき、溶岩とぶつかる。勿論氷だけが粉々に砕け散る。
「ほんの少しでも角度が変われば、俺達に到達する頃には大きく的を外れているはずだ。後は奴の乱射を止めねぇと。」
サマエルは十分な距離を取り攻撃を続ける。
「このままロキを潰しに行ってもいいが・・・俺の腹に一発くれたお返しはちゃんとしねぇとな。」
サマエルは身体を覆う溶岩の鎧の上、その腕の上から更に溶岩を出して硬化。ガントレットのようなものを作り出す。
そして、今度は数メートルの溶岩弾を目の前に作り出し両腕で掴む。
溶岩弾に身体を隠しながら真っ直ぐアルマとカイトへ突進する。
「カイト、俺に任せろ!」
アルマは一歩前へ踏み出し腰を下げる。
「『天壊』!」
その拳を溶岩弾に叩きつける。それを見事に粉砕、液体と個体が混じった溶岩が弾ける。
「カイト!」
「分かっている!」
トリアイナの槍を水が覆い、その水を氷結。鋭い槍を形成する。
「喰らえ!」
溶岩弾の後ろにいたサマエルに槍を突き出す。氷が溶岩を砕き散り、神槍はサマエルを貫く。

「!?・・・手応えが無い!」

溶岩の鎧はバラバラと崩れて、中には誰もいなかった。
「ここだ。」
砕かれた溶岩弾の破片から溶けるように姿を現したサマエルはガントレットの拳をアルマの腹に叩き込む。
「ゴハッ!!」
アルマは空気を吐き出しながら後ろへ吹っ飛んでいく。
「貴様!溶岩と同化出来るのか!」
カイトは振り向きながら神槍を振るが簡単に躱される。
そして、カイトもサマエルの拳を受ける。

「これで終わりと思うなよ?苦しみ抜いて死ぬまで殴り続けてやる!」


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