天魔界戦

皇神凪斗

第13話 逆転

ガブリエルの羽根が水色に染まり、一回り大きくなる。
ウリエルやラファエルと違い、ガブリエルは大きな外見の変化は見られなかった。
それは逆に不気味でしか無く。メルとレイジは様子見に徹する。
「『氷結神水』!」
ガブリエルの周囲に浮かんだ水が凍りついていき、槍の形を形成する。
「!?・・・来る!」
メルは咄嗟に『宿り木の守り』を張り巡らせる。
浮かんだ氷の槍が飛来する。
「何か・・・マズイ!」
レイジの感は的中した。氷の槍は『守り』を貫き、メル達に向かって飛んでくる。
「『ライジング』!」
レイジがメルを背負い氷の槍を躱す。
しかし、その背後にいた団員達に槍は命中。触れた団員は即座に身体が凍りつき氷像と化す。
「威力が上がっている!ただ水が氷になっただけじゃない!」
「いくら『神器』でも私達『四大天使』には簡単に渡り合えると思わないでください。」
そう言うと、ガブリエルはもう一度氷の槍を用意する。それも数十本、呆れるほどの本数に幻覚かと思う。
「待って!!」
「裁きを!」
降り注ぐ氷の槍。メルはレイジが抱えて避けたので無事だったが、他の団員はそうはいかない。
突然、飛んできたその槍に掠めただけで身体が凍りつく。
たった二度の攻撃でかなりの団員が戦闘不能になってしまった。
「嘘・・・。」
「油断した・・・まさかここまでとは。」




ロキと対峙したラファエル。姿を変えた天使はその真価を発揮する。
「行くぞ。」
「!?」
ラファエルが取った行動は突撃。一直線にロキへ向かい、風の刃を叩きつける。
それでもロキが反応に遅れたのは単純に『速さ』が凄まじかったからだ。
何とか魔剣で受け止めたが、後ろに弾かれる。
その後、ラファエルの姿が消える。
「喰らえ!」
ロキが魔刀の刃を背中に回すと、そこに風の刃が当たる。ラファエルは風で自身を透明化させた上でロキを上回る速さで動いていた。
「お前・・・やはり何らかの方法で俺の位置を掴んでいるな?視覚じゃない・・・魔法か?」
「聞けば教えると思ったか?」
振り向きつつ魔剣を振るがラファエルは余裕を持ってそれを躱し、そのままロキから離れるように加速。空中を自由自在に飛び回る。
ロキもその場に留まるのは危険と感じ、最速で空を飛びまわる。
「俺より遅いくせに速さ勝負か?随分な思い上がりだな!」
ラファエルはロキに回り込むように飛び、風の刃を振る。
ロキは咄嗟に両方の魔剣で受け止める。しかし、ラファエルの足がロキの腹を捉える。
蹴り飛ばされるが空中で体勢を立直す。

「まだ動けるだろ?たっぷりと苦しめてやる!」


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