天魔界戦

皇神凪斗

第5話 混戦

頭数に差はあるものの人界軍は上手く応戦できていた。
と思っていた矢先、魔界軍の背後に魔法陣が現れる。
「!?・・・悪魔の増援か?」
「と言っても奴らも馬鹿じゃあるまい。全ての悪魔を送り込んでくるはずは無い。」
魔法陣から姿を表したのは一人の悪魔だった。
しかし、あきらかにただの悪魔では無い。殆どの悪魔の身体が黒いのに対し、現れた悪魔は真っ赤。そして、背中には六対の翼。
その姿や気配からはベリアルと同じ強さを感じた。
ベリアルは表情を変えず横目でその悪魔を見る。
「サマエル・・・人間の殲滅は私に一任されているはずだ。」
「悪魔の癖に仲間気取りか?魔界には秩序なんてねぇ・・・俺は自由にやらせてもらう。」
「そこまで言うとは・・・・・・

人間に恨みでもあるのか?」

「・・・・・・あぁ。あの人間ロキはこのサマエルが殺す・・・!」

ラファエルの相手をしながらロキは振り返り、サマエルを見つける。
すると、ニヤリと煽るような表情を浮かべた。
「!!・・・人間如きが!」
サマエルが翼を広げ風を巻き起こす。そして、翼を羽ばたかせロキの方へ飛びたつ。
しかし、その目前に光る剣が通る。
サマエルは爪で剣を弾き空中で動きを止める。
「ちょっと待ちな、悪魔さんよ!ロキの前に俺が相手してやるよ!」
アルマの隣にカイトがやって来る。
「落ち着け、こいつは他の奴とは違う。俺も力を貸してやる。」
「そ、それなら私も───────」
その時背後から光が指す。
振り返ると、天使の一人が手のひらに光、魔力を溜めていた。
「あれはマズイな。」
ロキが直ぐに動く。空中を蹴り、接近を試みる。
しかし、ラファエルに回り込まれた。
「おい。このラファエルが相手してんだから目移りしてんじゃねーよ。」
「くっ!・・・シャル!レイジ!」
「はい!」
「分かった!・・・メルちゃん?」
「はい!な、何ですか!?」
レイジはメルの腕を掴み、『神剣 バルムンク』を握る。
「行くよ!『ライジング』!」
レイジとメルが文字通り『雷』に姿を変え、空を舞う。
一直線に魔力を溜めている天使へ向かう。
「させるか!」
ラファエルがフォローに回ろうとするが、シャールが投げたナイフに邪魔をされる。
そして、天使の前まで辿り着いたメルが魔法陣を展開する。
「『嵐風槍』!!」
凄まじい風の槍が天使を襲う。天使は咄嗟に溜めていた魔力でその魔法を相殺する。

「やはり一筋縄では行きませんね。」


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