天魔界戦

皇神凪斗

第三章 最終話 次の戦いに向けて

その後、本気を出したカインを相手にアルマとロキは身体と魔力が限界になるまで戦った。結果として勝利は掴めなかったが、『限界を知る』という意味では大きな成果を得た。
二人はカインに怪我を治してもらい、魔力の回復に務めた。

そしてその夜、二人は夜風にあたっていた。
「あ〜あ、負けちまったなぁ。」
「戦いが始まってすぐ気づいただろう?俺達が敵う相手じゃない。」
「でも限界までやりゃ何とかなると思ったんだけどな。」
ロキは少し間を置き、話題を変える。
「・・・アルマ、お前は次の戦いに参加するな。」
「は!?・・・な、なんだよいきなり!」
「カインの話が本当なら、カインと同じ強さを持つ敵が現れる。」
「『世界の原則』ってやつか?だとしても・・・だからこそ、今から強くなるって話だろ?」
「お前を助けるのにどれだけ苦労を重ねてきたと思っている?お前が死ねばそれは無に帰す。」
「お前はどうなんだ?・・・助けられてなきゃ死んでいいと思ってんのか!?」
「・・・俺は死ぬつもりは無い。俺には守るべき相手が増えたからな。」
アルマは少し笑った。
「だったらそれを俺に聞くのはお前のワガママだろ。」
「フンッ・・・お前の覚悟を知りたかった。
・・・絶対に死なないという覚悟はあるのか?」
「確かに生半可な正義かもしれねぇ。
お前には本当に命を賭けても守りたい相手がいるんだろ?
だけど俺は・・・ギルドの連中もそんなに長い間過ごした訳じゃねぇ、管理政府の奴らとも顔合わせたくらいだし街の皆からギルドの人間は嫌われてる。
まあギルドの仕事が悪人の捕獲や殺害だし、仕事でも人を殺す事を正義だと思った事はねぇし事実だから否定もしねぇ。

・・・それでも、目の前の人間が殺されそうになってて俺に力があるなら助けてぇだろ!!
単純でも良い、幼稚な正義でも良い。
俺は俺に出来ることをするだけだ!」
それを聞いてロキは少し表情を和らげた。
「なるほどな。分かっているようだな、お前が幼稚だと言う事は。」
「あぁ・・・それに。お前ロキが俺に思うのと同じで、俺もお前を死なせたく無い。」

「お前の覚悟・・・しっかりと聞いたぞ。」


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