天魔界戦

皇神凪斗

第49話 最凶の本気

「なるほどな。『光魔の鎧』を纏う事で腕に魔力を溜める時間を短縮したのか。」
「なんて無茶苦茶な威力なんだよ。カインでも力づくであの結界を破壊するには苦労するのに・・・パンチ一発でヒビ入れるなんて・・・。」
アルマの前には白目を向いたカインがいた。
しかし────────
「『真実の嘘』・・・。」
全く別の場所にもう一人のカインがいた。
「!?・・・アルマ!後ろだ!」
「『嘘の真実』・・・幻が現実となる。」
ロキがカインの突然現れた事に動揺している間に悪魔は能力を使いカインを事実上『回復』する。
「『皇天砲』」
アルマがカインに気づき振り向いた瞬間、魔法を発動する。
橙色の魔力砲がアルマへ迫る。
「『光魔の盾』!!」
何とか盾を発動し、受け止める。だが、カインの魔法は継続しアルマの動きを封じる。
「(クソッ!左腕の魔力を盾に注ぐのに精一杯で逃げる為の足を動かす事が出来ない!
かと言って魔力の操作を少しでも誤れば盾が破壊されて直撃だ。)」
「やはり魔力を操るのはあまり慣れていないようだな。
それと・・・ロキ。分かったぞ、お前の秘密。」
そう言ってカインはアルマへ向けた手と反対の手をロキへ向ける。
「!?・・・何をする気だ?」
「『ディストラクション』」
ロキの足元に魔法陣が現れる。
しかし次の瞬間、その魔法陣は割れ散り散りになる。
「な、何の魔法だ?」
「俺の魔法陣を破壊したのか・・・!?」
「そうだ・・・お前の『自然操作魔法』をな。」
「バレていたか・・・。」
「あぁ、空間把握能力の役割をしていた魔法だ。
自分の周辺や戦場全体に『自然操作』している『風』を流し、その『風』に敵が触れる事でまるで『レーダー』の様に敵の位置を完璧に把握する。
だから高速で動いても正確な行動を取る事が出来たんだ。」
カインの魔法で魔法陣を破壊された事で、もう一度魔法陣を構築し直さなければその魔法は使う事が出来ない。
「魔法を破壊する魔法なんてアリかよ!」
そしてカインは悪魔に向かって叫ぶ。
ロキ悪魔!戻れ!」
「了〜解。」
悪魔は直ぐにカインへ向かう。
「!?・・・させるか!」
ロキは悪魔を追う。だが、カインはまた別の魔法を発動する。
「『聖封陣』」
ロキの足元に魔法陣。そこより四角い結界が伸び始める。
「ならば・・・!」
指を鳴らす。その音が響くと共に時が止まった世界が広がる。
「甘いよ。」
悪魔は振り向きロキへ手を伸ばす。その手から同じく時が止まった世界が広がった。
二つの世界がぶつかり崩壊する。
結果、どちらの時間停止も発動しなかった。
「くっ!」
その隙にロキは結界に囚われてしまう。そして、悪魔はカインの影へ戻る。
「『天鎖』!」
この隙にロキの所へ鎖を伸ばしていた事でアルマは瞬間移動する。
「『エクスカリバー』!」
アルマは聖剣で結界を破壊し、ロキを解放する。
そしてカインも準備を整える。全身を黒く染め、『悪魔転生』を完璧にした。
「お前達は合格だ・・・信頼に値する実力を見せた・・・。
だから─────

─────ここからは個人的に戦いを楽しませてくれ。」


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