第45話 ロキ vs ロキ

｢そっちの相手は任せたぞ。あまり長く戦うと、戦い方を掴まれるからな。｣
カインは悪魔へ向けて言う。ロキがカインの動きを観察していたのを見抜いていた。
｢なるほど。それは面白いね。｣
｢こっちはあまり面白くない。｣
状況が悪化してしまった。二人でもカインの相手は骨が折れるというのに。
｢『終炎の衣』｣
ロキは終炎を着るように纏い防御態勢に入る。
｢おや？君からは来ないのかい？なら僕から行くよ！｣
悪魔の持つ『魔剣 ベルセルク』の刃の上に魔力の牙が回り始める。
その魔剣を手にロキへ接近、攻撃をする。
ロキも『魔剣 レーヴァテイン』でそれを受け止める───────否、悪魔は剣が触れ合う前にその手を止め剣を下げる。
｢確か、その剣は魔力を吸い取る。これじゃあ、相性が悪いね。｣
悪魔はベルセルクの能力を解除する。
そして、魔剣を持っていない方の手を伸ばしロキを突き飛ばす。
突然の動きに対応が遅れるが、ロキは何とか体制を立て直し着地する。
しかし、悪魔は直ぐに追いつき魔剣を振る。ロキはそれを簡単に受け止める。
｢ん？｣
悪魔は攻撃を止められた事に少し首を傾げ、追撃を始める。暫く剣を打ち合う。
｢君、ずいぶん空間把握能力があるね。視界の外から攻撃しても防げるなんて。｣
｢驚いたのはお前の幻だ。幻だとしたら攻撃されたと、俺自信が認知しなければ傷にならないはず。
しかし、お前は実際そこに存在している。剣を持ち、視界外で動いている。｣
｢僕の幻は五感全てを惑わす。例え目を閉じても無駄だよ。人間には触覚があるからね。｣
｢･･･弱点の無い能力だな。｣
悪魔は攻撃を再開する。しかし、ロキはもう一度悪魔の手首へ剣を伸ばす。
｢おっと。｣
悪魔は一歩下がる事でそれを回避する。
｢何度も出来ると思ったかい？｣
｢すまない。隙だらけだったのでな。
･･･『ヘル・スラッシュ』！｣
ロキが魔剣を横に薙ぐと黒い刃が悪魔へ向けて飛ぶ。躱す時間は無く、悪魔は剣で受け止める。
その隙に、ロキは終炎を魔剣に纏わせる。それを真っ直ぐ、悪魔へ向ける。
悪魔は直ぐに黒い刃を弾く。
｢『終炎 剛牙』！｣
魔剣の刃が直線で悪魔の方へ伸びる。それは悪魔の肩を大きく貫く。

｢僕を出し抜くなんて･･･面白いじゃないか。｣