天魔界戦

皇神凪斗

第42話 圧倒的な強さ

「迂闊に近寄るのは危険か・・・なら魔法だな。」
ロキが手を振り上げると地面が揺れる。
地表面を突き破るようにして現れた岩は巨人のような大きさの腕を形作っていた。
それをカイン目掛けて振り下ろす。
「『ベルセルク』」
カインがそう呟くと、左手に持っていた魔剣が光を放つ。
次の瞬間、魔剣の刃の上に魔力の牙が現れる。それは細かく、大量に刃に付着し高速回転。
まるでチェーンソーのような剣を作り上げる。
振り下ろされた岩の腕を、左手に持つ魔剣で両断。簡単に躱す。
しかし、岩が巻き上げた砂塵に紛れアルマとロキは姿を消す。
「・・・なるほどな。」
だがカインは砂塵を逆に利用し、自身も隠れる。元々立っていた場所を離れ、姿をくらます。
「・・・そこだ。」
突如、空に雷が渦巻く。それは一直線にカイン目掛けて落雷する。
「何・・・?」
咄嗟に地を蹴り、落雷を躱す。荒れる砂塵の中へもう一度隠れる。
すると、また雷が現れカインへ落雷。
「(何故俺の位置が完全に把握されている?俺からは全く見えないというのに。)」
雷を避けながらカインは魔法陣を展開する。
「『爆風』」
カインを中心に外側へ大きく風が吹く。砂塵があっと言う間に消え去り、視界が開かれる。
やや離れた正面にロキを見つける。
「(雷を操っているのは奴だ。まずは奴を止めたいが、これは罠だな。)」
落雷を躱しながら周囲を確認。
すると、背後に剣を振り下ろすアルマを見つけた。
「『天の剣』!」
アルマが振るった剣の奇跡から光で構成された剣が伸びる。真っ直ぐカインを狙う。
避ける隙が無く、魔剣を交差してそれを受け止める。
しかし、受けきれずにその姿勢のまま後方に押し戻される。
「『終炎の尖槍』」
両腕を塞いだ所で挟み込むように背後からロキが追撃。左腕に包むように形成された終炎の大槍を突き出す。
「悪くない采配だ・・・『魔鏡』!」
カインの背中に魔法陣。そして薄紫色のガラス、半透明で六角形のガラスが現れる。
ロキも逸らす間もなく、『魔鏡』へ左手のそれを突き刺す。
『魔鏡』は攻撃を防ぐと言うより、吸い込む形で受け止める。
「何の魔法だ!?」
ロキの左手に纏っていた『終炎』をすべて吸い込むと光を放ち始めた。
「・・・『反射』!」
カインの言葉と共に『魔鏡』がひっくり返る。
そして、先程受け止めた『終炎』を全くそのままの形状で放った。
「『レーヴァテイン』!」
咄嗟にロキも魔剣を構えそれを受け止めるが魔剣が吸収するよりも速く、魔剣を弾きロキの身体へ直撃する。
「嘘だろ!?」
「油断するなよ?」
カインは『天の剣』を魔剣で弾き飛ばし、魔法陣を展開した。
「『轟雷紫電ごうらいしでん』!」
目にも止まらぬ早さで雷が空を飛び、アルマを捉える。
「うわぁぁぁ!!
・・・くっ!『エクスカリバー』!」
名前に答え、聖剣は魔法を掻き消す。

これだけの攻防を繰り返してもカインは、無傷のままだった。

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