天魔界戦

皇神凪斗

第38話 囚われた天使

アルマに連れられて四人は通る場所に来る。
そこは他と違い渦巻くように雲が浮いており一見、見晴らしは良いが雲の影にならいくらでも隠れられる場所だった。
その中心の雲には一つの檻。鳥籠のような形状で人が、天使が一人だけ入れる大きさの白い檻が堂々と置かれていた。
中にいるのは天使。
アルマにしか分からないがそれはミカエル本人だった。
一同はその様子を少し離れた場所から見ていた。
「目に付きやすい獲物に、整えられた足場・・・やはり罠だ。」
「・・・よしっ。行くぜ!」
「待て!」
すぐに飛び出そうとするアルマをロキが止める。
「あんな見え見えの罠に掛かるのは癪だからな。まずは先手を取る。」
そう言うとロキは左手を前に出す。すると『終炎』が細長く伸び、その雲の周りを包囲する。
「身体を隠しても、その膨大な魔力は隠せないのだろう?」
完全に包囲した後、終炎を太くする。渦巻き状に並んだ雲を更に覆うような渦巻を発生させる。
「!!・・・敵の攻撃を確認。」
「もう遅い!」
雲の影から姿を現した天使達に逃げる隙を与えず、終炎は全員を巻き込み徐々に狭まっていく。
そして、空中で一つの球体として固まる。
「『極魔・──────
ロキは左手で空を強く握りつぶす。
────獄炎華ごくえんか』!!」
球体はギュッと潰れたと思うと、中身が弾けるように大爆発。
それはまるで、大きな花が咲くような爆発だった。
天使達の光の欠片が降り注ぐ。それを確認しつつ檻に近づく。
「全く、俺達が着いてきた意味が分からんな。」
「そ、そうですね・・・。」
「お前達はシャルを守るのが役割だ。大抵は俺が何とかする。・・・あのような奴がいなければ、な?」
「奴?」
雑魚は蹴散らしたが雲の中から違う天使が姿を現す。
「ウリエルの反応が消えたと思ったら、また『虫』が入り込んだ見たいだな?」
他の天使と違い白い髪を長くなびかせ憎しみを込めた瞳を向けてくる。
「その『虫』に殺されたウリエルとか言う奴は『虫未満』なのではないか?」
「ハッ!どうせ、運が良かっただけさ。まともに戦えばこの『四大天使 ラファエル』が負ける事などありはしない。」
「おいおい!ロキはもうやったんだろ?次は俺の番だぜ?
・・・お前は周りの奴でも相手してな。」
アルマの言葉を聞き、メル達は周りを見渡す。
雲の外からこちらへ向けて増援が来ていた。

「やめてくれラファエル!私をさっさと殺せば彼等は直ぐに帰る!」
突如、事の成り行きを見ていたミカエルが叫ぶ。
「あぁん?餌が何ほざいてんだよ。人間は皆殺しに決まってんだろ。お前の命じゃ代わりは務まんねーし、聞く義理もねぇ。」
「頼む!逃げてくれ!」
ミカエルはこれから起きる事を恐れ叫ぶ。
「そいつは無理だぜ・・・ミカエル!
目の前でひでぇ目に合ってる奴を放っては置けねぇよ!」

聖剣を握り、アルマは突撃する。

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