天魔界戦

皇神凪斗

第25話 神と天使が住む世界

光に包まれ、眩しさに目を瞑る。
身体が消えるような感覚に襲われた直後、風の音を聴く。
目を開けるとそこは別世界だった。
「ここが『天界』だ。」
視界には白と橙。疎らに散らばる雲と、妙に明るい空が広がっていた。
「あれ、ロキさんの腕が・・・。」
鱗が張り付いたような腕はただ黒いだけの人間の左腕になっていた。
「あぁ、これじゃ『悪魔の魔力』も使えないな。
それと、お前達に一つ魔法を教えておこう。手を出せ。」
カイトとメルの手の上にロキは魔法陣を広げた。
「『心眼』アルマでも敵でも、探すにはこれがあった方がいい。」
「これは・・・!」
「何かが・・・ロキの身体に張り付いている?」
「下を見てみろ。」
二人が下を向くと、ロキの身体から漏れるように拡がった何かの上に、シャールを含む四人が立っていた。
「まさか・・・魔力が『視えて』いるのか?」
「あぁ、どうやら雲の上でも立てる場所とそう出ない場所があるようだ。『心眼』でそれを見て歩け。」
「分かりました!」

その時、雲の中から影が飛び出す。
六つの影が逃げ場を奪うように囲い、武器を振る。
カイトとメルは気づけたものの、動くより前に武器が目前まで迫っていた。

「─────捉えた。」
振り下ろした武器は──────
────正面にいた仲間の武器に当たる。
「む?どこに行った?」
六人の天使が囲んだ場所には人間はいなくなっていた。

「おいおい。天使のくせに待ち伏せか?
随分セコい真似をするじゃないか。」
「え?」
四人はやや離れた全く別の場所に移動していた。
移動したメルが驚く程の現象が起きた。
天使達は顔を見合わせる。
「転移の魔法か?」
「魔法の発動を感じなかった。」
「足で移動したようには・・・。」
「見えなかったな。」
「何か不明な力があるようだ。」
「やはり・・・あの人間は危険。」
その様を見て、ロキは笑う。
「天使でも全知全能じゃないのか?」
「我らを愚弄するか。人間。」
周囲の雲から更に天使が顔を出す。それは数人ではなく。軍隊のような大人数だった。
「俺達が来るのを分かっていた?」
「もしかしたら、アルマの逃げる場所に待ち伏せしていたのかもな。」
「それなら!アルマ君はやっぱりここに!」
「あぁ、その前に・・・。」
「邪魔者を掃除する必要があるみたいですね。」

「そう簡単に行くと思うか?」

天使の群れの中に、一人だけ雰囲気の違う者が居た。
その周囲の天使だけはロキ達を囲むと言うより、その一人を囲んでいる護衛のような陣形。
「お守り付き・・・隊長格だな。」

「まさかもう出会うとはな。『四大天使 ウリエル』」

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