天魔界戦

皇神凪斗

第21話 蒼家

結界が解除され、全員がノクター前に戻ると見るからに派手な服装の男とその傍に執事が一人待っていた。
二人は真っ直ぐカイトを見つめていた。カイトも二人を睨め返す。
「執事からお前を見かけたと聞いた時は、信じられなかったが・・・。」
「・・・・・・。」

「よく帰った!!我が息子よ!!」

その男はカイトに抱きつこうとするがカイトはそれを避ける。
「気安く触るな。バカ親父が。」
「「「えーーー。」」」
カイトの父の意外な行動に周りは驚く他なかった。
「俺は帰るためにノクターに来た訳では無い。分かったらさっさと帰れ。」
執事が一歩踏み出す。
「カイト様。どうか、着替えて頂けませんかな?その服は従者の物。貴方様は貴族ですぞ。」
「断る。親父の様な趣味の悪い服を着る気は無い。」
そこでアカネは割って入る。
「あー、私が後で普通の服屋に連れてくから。その服はこの街じゃ目立ちすぎるわ。」
「おお!アカネちゃん!どうだい!家のカイトを是非婿に!!」
「それは何度もお断りしたはずです。」
分からずにいるメルに、ジンは教える。
「二人は互いの親から政略的に結婚を迫られ、二人とも家出したらしいよ。」
カイトの父はかなり落ち込んだ様子で、カイトの元へ戻る。
「そうかぁ・・・なら何処の子が良かったんだ?カイト。」
「親父の利益になるなら俺は全て拒否する。」
カイトの父は更に落ち込む。
「用がないなら俺は行くぞ。」
「ま、待て!・・・カイト、ギルドに所属しているらしいな。」
「そうだ。執事から聞いたのか?」
「・・・私も若い頃はやんちゃしていたな。
・・・どれ、これを持っていきなさい。」
カイトの父は一つの槍を取り出した。
「!・・・ほう。それは『神槍 トリアイナ』」
「何故、親父がこんな物を?」

「・・・家にあったんだ。」

カイトはそれを掴むと、そくさくと歩き始めた。
「おーい!一言礼を言っても良いんじゃないか!?」

「天魔界戦」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く