天魔界戦

皇神凪斗

第2話 天敵

「くっ!こんな状況の・・・こんな時に!」
カイトとメルは陣形を組む。
「・・・ふむ。とりあえずは奴ら天使達を黙らせるか。」
「私が行きましょうか?」
「いや、少し待っていてくれ。」
「・・・分かりました。」
ロキが足を踏み出すと、空中で何かを踏みつけたように止まる。
その透明な階段を踏むと、一瞬膝を折り強く地を蹴る。そして、一気に天使と同じ高さまで飛び上がる。
「魔力の具現化・・・攻撃や防御だけでなく、足場にも出来るのか。」
ロキの姿を近くで見た天使は目の色を変えた。
「!!・・・奴だ!!悪魔の手を持つ人間だ!!」
「殺せ!!絶対に排除するのだ!!」
ロキは真っ黒な左手を開く。
「・・・来い・・・『終炎しゅうえん』」
左手から黒い魔力が溢れ出す。炎のように不確かなそれはロキの背中を周り右手に収まる。
右手で掴んだそれは、細長くなり、剣を形作る。
「『獄魔の剣』」
「はぁっ!!」
天使は各々の武器を持ち、全員でロキに襲いかかる。
「大丈夫なのか!?空中じゃ機動力が違いすぎる!!」
天使に囲まれた瞬間、ロキの姿が掻き消える。
「問題無いです。『魔力で足場を作れる』という事は空中はロキにとって最高の戦場です。
障害物が無い。そして、自由な高さで足場を作り、相手を全方位から攻撃出来る。」
そう言っている間にも、空を走り回り、天使を翻弄しながら切り刻んでいく。
追い付けない相手に天使達は追い詰められ、一つの場所に固まってしまう。
「どうした?天使ともあろうものが抵抗も出来ないか?」
「貴様あっ!!」
突如目の前に現れたロキに驚き、反射的に剣を振り回した。
「『剣技──────」
ロキは振り下ろされる剣を横に弾く。すると、弾かれた剣は隣にいた天使の首に突き刺さる。
痛み驚いき、今度はその天使が手に持つ槍を振り回す。
槍は後ろにいた天使の背中を貫く。その天使は剣を離す。
ロキはその剣を足で蹴り飛ばし、離れた天使の胸に突き刺す。
次々と天使達が自ら仲間を傷つけていく。

「────────死の舞踏ダンスマカブル』」

あっという間に周りにいた天使を全て光に変えた。
ロキは魔力を解き、地に降りてきた。
「・・・・・・。」
「随分警戒しているな。・・・今のお前達が俺に勝てるとでも?」
「・・・残念だが、アルマは居ない。分かったらさっさと消えろ!」
「アルマがいない事は知っている。・・・言ったはずだ、やっと見つけた、とな。」
「?・・・私達を探していたんですか?」
「お前に用など無い!天使を倒したなら次の襲撃に備えなければ──」
カイトは踵を返し、その場を去ろうとする。

「俺は・・・アルマの居場所を知っている。」

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