天魔界戦

皇神凪斗

第25話 撃破

悪魔は大きな隙を作った。ここで仕留めるしかない。
「『激流水破げきりゅうすいは』!!」
カイトの拳に水の塊が現れる。それを悪魔に叩きつける。
すると、水は悪魔を球状に覆い流れ始める。その狭い球の中で凄まじい水圧が悪魔を襲う。
身動きなど取れるはずもない。
「『轟雷撃ごうらいげき』!!」
レイジが手を掲げると、五月蝿い程の雷が水球へと落ちる。即座にその中を駆け巡り、悪魔にダメージを与えた。
「ぐがががががががががががが!!!!」
「ごめんなさい・・・でも、これで終わりです。
『大花の光砲』!!」
メルの頭上に大きな向日葵が現れた。それは以前よりも倍近くの大きさがあった。
中心に光が集まり、あっという間に凄まじい大きさとなった。
メルが杖を振り下ろすと、その濃縮された魔力は巨大な破壊光線となる。
水球や、雷をも消滅させ、悪魔に確実に命中する。
「が・・・ががが!・・・ニンゲ・・・き、め!!」
悪魔の身体は所々から、崩れ始め、胃液に触れた肉のように消滅していく。

やがて、悪魔の全てが消えた時、三人は膝をついていた。
「はぁ・・・はぁ・・・。一度で、殆どの魔力を使ったようだ・・・。」
「・・・流石に、疲れたね・・・。」
「すみません・・・もう・・・おやすみ、なさい・・・。」
メルは脱力して横になってしまった。
「情けない・・・奴め。」
「ごめん、僕も動けそうにないや・・・少し、休もうか。」

その後、戦いの一部始終を見ていた一般人が助けを呼び、三人は近くの病院へ運び込まれた。




「まあ、傷は塞がりかけてたけど血液と魔力が足りないだけだから。しっかり食べてしっかり休めば何も問題なく復帰出来ると思うよ。」
「ありがとうございます。ドクター。
あと、助けて頂いた方にお礼をしたいのですが・・・。」
ドクターは肩を落とす。
「ふーむ。・・・関わりたくないとさ。」
「そんな事だろうと思っていた。・・・だが、愚民にしては良くやったと褒めておこう。」
顔以外、ほぼ全身に包帯を巻かれたカイトはそう言った。
と言っても、他の二人も似たようなものである。
「グランさんには連絡を入れて置いた。とりあえず、しばらくは安静にしていてくれ。」
「分かりました。」

悪魔との戦いは、一段落した。
しかし、そもそも何故あのような敵が現れたのか、疑問が残るばかりだった。

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