天魔界戦

皇神凪斗

第24話 掴み取る勝利

悪魔の動きはメルの前で完全に停止する。
「メル!そのままだ!!攻撃はせず、距離を取れ!!」
「え?は、はい!わかりました!!」
「意識がハッキリして、頭が回ってきたよ・・・カイト君。」
「あぁ、さっきの魔法・・・恐らくは受けたダメージを爆発に変える魔法だ。威力が明らかに違っていた。」
「倒されるリスクに比例して際限なく上がる威力。その代わり、使った後は少しの間だけ魔法を打ってこない・・・いや、打てないんだろう。」
悪魔は爆発後、目に付いた人間に突進するのみ。使える魔法も一つという訳では無いのに使わないのがそれを証明していた。
「それならば、一度で倒しきるしかない!!」
「でも、倒し切れなければ逆に爆発されてしまいます。」
「傷が治ってきてるとはいえ、出血量が多い。
これ以上大きなダメージを受ければ僕達が死ぬだろう。」
「・・・必ず殺る!!この程度の相手で死ぬものか!!」
三人は一箇所に集まり、陣形を組む。
「動きを止めてるままじゃ魔法が使えません。隙を作って貰えますか?」
「任せてくれ!」
メルは神器の能力を解く。悪魔は束縛に抵抗していた力が解き放たれて一度転ぶように倒れるが、三人を睨みながら立ち上がる。
「ウオオォォォオオオ!!!」
「『吹雪』・・・!!」
周囲に白い雪が吹く。視界が奪われ、悪魔は足を止める。その耳に、風を切る音が聞こえた。
咄嗟に屈む悪魔。その頭上を何者かの脚が通過した。
屈んだま脚の元へ飛ぼうとするが、視界の隅から飛んできた剣を避ける為、下がらざる負えなかった。
次は背後から音、大きな岩が投げられていた。
悪魔は虫でも払うかの如く、それを粉砕する。
「ヤカマしいな・・・。」
今度は口を大きく開け、空気を吸い込む。また大声で吹き飛ばすつもりだった。

しかし、悪魔は自らその行動を止めた。

「うグッ!!」
悪魔の体内が凍り始めたのだ。否、体内だけでなく気づけば四肢全てが動きを鈍くしていた。
「ここだ!!」
カイトは『吹雪』を解除する。
雪が一瞬で消滅し、取り囲んだ状態を形成する。
三人はメルの魔法で『吹雪』の中でも視力が聞くようにしていた。

「悪いけど、倒させれもらうよ!!」

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