天魔界戦

皇神凪斗

第4話 チームワーク

「水銀だと!?そんな事が出来るものなのか?」
「はい。自然操作魔法を極めれば、操れる物質を変えられるって本で読みました。」
「それにしても厄介だね。ただの攻撃魔法なら軌道を読んだり、対処法はある。自然操作魔法と言うのが実に厄介だね。」
三人はシェルナンドを見て、似たような景色を思い出した。
自由自在に動き、剣となり盾となる魔力。
まるで、『ロキ』のような戦い方だ。
「いや、奴とは違う。」
カイトは否定する。レイジも微笑みながら頷く。
「そうだね。シェルナンド君の強さは前衛のバラール君がいるからこそだ。
強力なチームワークはそれぞれが役割を担っているからこそ・・・崩せれば勝機は充分ある!」
「来ないのなら俺から行くぞー。」
バラールが斧を振り上げ近づいてくる。
「『ライジング』!!」
「幻覚魔法は効かないか〜。となると・・・『フリーズ・スパイク』」
カゲの手に魔法陣。バラールとシェルナンドの間に、氷の針山が形成される。
「『ライジング』は高速で移動してるとは言え、雷になっている訳じゃない。」
「『私に従って』!!」
直後。氷の針山の地面から樹木が生え、それを破壊する。
そして、レイジは樹木をくぐり抜け再びシェルナンドへ向かう。
「止められないのなら止めないまで!」
シェルナンドが手を振るうと、水銀が渦を巻いてシェルナンドとカゲを包む。
高圧かつ高速で動き続ける水銀は触れるもの全てを削る渦である。
レイジは立ち止まるしかない。
「くっ!この水銀をどうにかしないと・・・。」
そこで、バラールはカイト、と言うよりメルへ向かって突進する。
「先に君達を倒す。悪く思わないでくれ。」
カイトは中指で眼鏡の位置を正す。
「甘く見るなよ。『氷撃フリーズ・バン』!!」
バラールの足元が一瞬にして凍る。膝より下が動かなくなる。
「魔法は攻撃する為にあるのでは無い。」
「ただの足止めだよ!」
バラールは斧を大きく振りかざす。
「見え見えだ!!」
カイトはもう一度魔法を放つ。今度は両腕を凍らせる。
「な・・・何ぃ!?」
「勝たせて頂きます!!──────

────────『メテオ』!!」


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