天魔界戦

皇神凪斗

第66話 祝杯

この度の戦いで、全滅は果たせなかったが。
見事な勝利を収めたレイジ隊と管理政府の隊員達はグランギルド全員を巻き込んで祝杯をしていた。
何も知らない団員達も、酒と食事を堪能していた。
しかし、魔力が底をつき起き上がる事も出来ないアルマは、大広間の片隅に置かれたタンカーの上で歯ぎしりしながら他の者を睨んでいた。
「っだぁー!!!俺にも食わせろぉー!!」
みんながワイワイやってる中、妬みの叫びを上げているアルマ。
「アルマ君。食べすぎるとそれはそれで、身体に負担がかかりますよ?」
スイーツを抱えたメルが近寄ってくる。
「腑抜けが。魔力が枯れるまで戦った貴様のミスだ。」
「あんまり騒ぐと魔力の回復が遅くなるよ?一応君の分も持ってきたけど・・・。」
かなり食事を楽しんでいるカイトとレイジも合流する。
「んな事言ったってよぉ〜。
あ、カイト。」
「何だ?」
「えっと・・・サンキューな。あの時、お前が止まらなかったらあいつロキは死んでた。」
「・・・・・・何故、そんな言い方をする?」
「言い方?」
「貴様が奴の死を望んでいたなら、『殺せていた』と言うんじゃないか?
『死んでいた』という言い方では俺が奴を助けたように聞こえる。」
そこでメルも割り込んでくる。
「いくら何でも家族従兄弟を殺すなんてするべきじゃないと思います。
私は、あれで良かったと思います。」
「そうだ・・・あの時俺は、任務として奴を殺そうとした。たが、貴様の叫びで気付いたことがある。
もし、貴様の家族を殺すなら、貴様自身でやるべきだと。」
冷めてしまった空気をレイジが変えようとする。
「まあ、結果としては十分だよ。管理政府からの報酬もかなり頂けるみたいだし。」
「その通りだ。成果としては十分。」
さらに割り込んできたのは赤髪の青年。
「無法者は壊滅。この街に潜んでいるやつも、捕まえた連中を洗えば捕まえられる。ロキだけは全く検討がつかないが。」
「例え彼が組織を作り直すとしても、もう派手には動けないし、かなりの時間が掛かるだろうね。」

「いや、あいつはもう。組織を作ろうなんて考えないだろうぜ。」

アルマに視線が集まる。
「・・・『聖剣』の封印を解いた時、俺は天使に会ってたんだ。」
「確か・・・ミカエルたったよね?」

「あぁ。その時、爺っちゃんとロキが話してるのを見せてもらったんだ。」

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品