天魔界戦

皇神凪斗

第61話 ロキの焦り

アルマとの戦いを続けていく中で、ロキの中で少しずつ焦りが募っていた。
今まで、自分より強い者と戦った事は何度かあった。それでも、ここまで戦いが長引く事は無かった。
アルマがロキより格段強いと言う訳でも無く、相性が悪いと言う訳でも無い。
しかし、ロキの持つ手駒が次々と消されていくのを感じている。
一度、有利な状況を作る為に『痛み』で抑圧したが、こちらの攻撃に過剰に反応する為、魔法を複数同時に発動してもどうにかして切り抜けてしまう気がした。
そう思ってしまうと、魔力の無駄遣いを嫌うロキの性格が『魔法』に抵抗を生む。
結果、剣で戦う事が最善の策だと判断する。
だが、それでアルマが簡単に倒れる訳もなく、戦いは続いていた。

ロキを剣をアルマが受け止める。空いている左拳をアルマの顔目がけて放つ。
すると、アルマは『聖剣』を握っているはずの『右手』でロキの拳を掴んだ。
「何!?」
「やっぱり・・・お前の拳や蹴りは、痛くねぇ!!」
「剣技──!!!」
ロキは剣を動かそうとしたが、『聖剣』がまだ空中に舞っていて、振ったとしてもアルマには当たらないだろう。
そして、アルマはロキの胸ぐらを掴む。正確には具現化した魔力ごと。
「『ディヴァイン────」
「その前に左腕を切り落とす!!」
「───────ストライク』!!!」
ロキが身体の前で持ち上げた『魔剣』をアルマは思いっ切り殴る。
『魔剣』はロキの手を離れ、具現化した魔力を砕き、腹に殴りつける。
「ぐはぁっ!!」
ロキは肺の中の空気を吐き出しながら、海老反りで後方に吹っ飛ぶ。
「まだだ!!」
アルマはできる限り力を込めて、床を蹴り飛ばす。そのままロキを追いかける。
「次が本命だ!『ディヴァイン・ストライク』!!!」
海老反りになって突き出されているロキの顔に、アルマは光る右腕を叩きつける。
「うおおぉぉぉぉぉーー!!」
長い時間をかけて作り出したチャンス、これを逃さないように確実にロキにダメージを与える。
全力で殴った。
ロキはアルマが自分でも思うほど見事に吹っ飛び、壁を何枚も破壊する。

「まだだぜ!?立ちやがれ、ロキ!!!」

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