天魔界戦

皇神凪斗

ムラサキ vs ルーズ その4

周囲全てを黒い炎に囲われたルーズ。しかし、その顔に表れるのは焦燥では無かった。
どちらかと言うと嫌悪感、面倒を押し付けられた様な表情。
「まあ、やるしかねぇか・・・。」
ルーズは杖を強く握る。すると、『ケリュケイオン』は光を放ち始めた。
次の瞬間、ルーズを守っていた『魔防壁』が、膨らみ始める。
ムラサキは怪訝そうな顔になる。燃え続ける炎に油を掛けるような行動だからだ。
しかし、『魔防壁』は黒い炎に焼かれながらも膨らみ続ける。
「!?・・・どこにそんな魔力が。まさか!」
「そのまさかだぜ?」
かなりの大きさに膨らませたあと、ルーズは魔法を解除する。
そうして出来た攻撃の隙間から抜け出す。そして、次の攻撃を開始する。
「『蒼天そうてん灯火ともしび』!!」
ルーズの前に一つの火の玉が現れる。それは蒼い炎で出来ており、大きさはルーズの身長より少し低いくらい。
「『ケリュケイオン』!!」
ルーズがその名を叫ぶと、火の玉は二つになり、大きさも『倍』になる。
「嘘でしょ!?数を倍にするんじゃないの!?」
「誰がそんなこと言った?『ケリュケイオン』は『威力』と『数』、両方『倍』に出来るんだぜ?・・・『ケリュケイオン』!」
更に、火の玉は四つへと増える。次に八つ、十六、三十二と『倍』になって行く。
「まさか・・・本当に『共鳴』してるの?」




『共鳴』とは『神器』や『魔具』が、持ち主の魔力にかなりの適性があり、それ以上の力を行使できる状態にある事。




「驚いてる場合じゃないぜ?」
「くっ!『私を守りなさい』!!!」
ムラサキも『ミストルティン』で防御壁を張り、更に魔法を重ね掛けする。
ルーズはこれ以上抵抗させまいと火の玉を飛ばし始める。
4m弱あるそれはムラサキの防御壁にぶつかると大きな爆発を生んだ。次々と飛んでくる火の玉に耐えきれず、『宿り木の加護』は破壊され、ムラサキは直撃を食らう。
数十秒に及ぶ爆発の連打。城の一部は完全に崩壊し、ムラサキは気を失っていた。
「うおー!俺かっけぇ〜、レミアにも見せてやりたかったぜ。」
「ルーズさん!!味方にまで当たってますよ!!」
「あっ、悪い・・・、だから嫌だったんだよなぁ〜。後で絶対、レミアに怒られるわー。」

しかし、まだまだ戦いは続いていた。

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