天魔界戦

皇神凪斗

第48話 自惚れ

アルマの放った剣は黒い球体へ突き刺さると、全てを削ってきた球体はその動きを止める。
やがて、光の剣と共に消滅した。
レミアールは恐怖で見開いた目を閉じ倒れた。
「止まった・・・。それにしても今のは・・・。」
そこでドロシーが口を開く。
「そのガキが持ってるのは『魔剣 レーヴァテイン』。魔法から魔力を吸収し、黒い炎で反撃する。」
「んだよそりゃあ。魔道士には最悪の敵じゃねぇか。」
ロキはニヤリと笑う。
「それを打ち消す、お前の聖剣もどうかと思うがな。」
「メル、お前は手を出すな!」
カイトはメルを制し、ロキへ突進する。
「ほう?槍使いか。」
「『魔装』!!」
カイトは槍を突き出す。槍のリーチを生かした剣の範囲外からの一撃。
しかし、切っ先で簡単にそらされてしまう。
そのまま回し蹴りを放つが、ロキの顔の横で足が止まってしまう。
「もう少し遊んでもいいが、もうここに用は無いのでな。」
具現化した魔力でカイトは横に投げ飛ばされ、大岩に叩きつけられる。
「シャル!」
「御意。」
シャールはすぐにロキの元へ戻った。
「待て!」
ロキへ向け剣が振り下ろされる。しかし、見事に魔剣で受け止めた。
「いい武器が手に入ったんだ。少し相手してくれよ?」
アルマは剣に圧をかけながら言った。
「早まるなよ?さっきの『剣』。威力は大したものだが魔力はかなり消費されただろう?」
「・・・ちっ!」
「それに比べ、この『レーヴァテイン』は相手の魔力をそのまま再利用する為に俺の魔力は消費しない・・・。
それでもお前に勝機があると?」
ロキの言う通り、アルマの魔力はかなり削られた。そして、ロキが全開だとすれば魔力の差は歴然、魔法を無効化出来たとしてもそれだけで勝てる相手ではない。
「うるせぇ!だったら近づくまでだ!!」
本来なら両手で持つはずの大剣を振るう。
いつもの愛剣に比べれば細い物の込められた天使の力か、重さはそれ以上だ。
ロキは剣で剣を滑らせたり、フェイントでズラさせたりと、巧みに攻撃をかわす。
力で押しつぶすアルマに対し、ロキは技で戦う。
剛剣と柔剣の戦い。
それでもアルマは力づくで隙を作る。
「ここだ!」
ロキの脳天目掛けて振り下ろす。
その瞬間───

アルマの腕に痛みが走り、視界に血が写り込む。

「!!・・・。」
その痛みで方向がそれ、地面に聖剣を叩きつけてしまう。
右肩を見ると、切り傷があり血が溢れ出てきていた。
「この剣技・・・!!」
相手の攻撃に対し、それを妨害するような剣技。
アルマの剣技、
否、アーサーの剣技だ。

ロキは剣をアルマに突き立てる。
「自惚れるなよ?聖剣を手に入れて、俺と対等になっただけだ。
聖剣の力だけで勝てるほど、俺は甘くないぞ?」
それは今までの人を見下した笑みではなく。
本気の敵意を持った鋭い目だった

ロキはそのままシャール共にその場を去った。

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