天魔界戦

皇神凪斗

第44話 聖剣解放

ロキは一歩、また一歩と近づいてくる。
「お前!!何しに来た!?」
アルマは体が動かない中、噛み付くように言葉を発する。
「俺は大切な道具を取り返しに来ただけだ。」
そう言ってロキはシャールを指さす。
アルマはサリムを見る。サリムは魔法で拘束されているというより、恐怖で震えている感じだ。
「婆っちゃん!何とかしてくれ!!」
この中で唯一動けるドロシーは平然とその光景を目の当たりにしていた。
「婆っちゃん?」
ロキはドロシーをつまらなそうな眼差しを向ける。
「・・・なるほど。これは貴様の策か?」
「年上に『貴様』なんて言い方はよしてくれる?」
「・・・まあいい。」
そしてついに、サリムの前まで到達する。
「サリム!!魔力を送ってくれ!そうすれば・・・!!」
「ぼ、僕は・・・!!」

突如、サリムの体が横に吹っ飛ぶ。

「さ、サリム!!・・・てめぇ!!」
ロキはふっと笑う。
「あれが『闇の賢者』?確かに魔法は一流かもな。だが、肝心の闇魔法が中途半端じゃな・・・なぁ、サリム?」
「うぐっ・・・!!」
サリムは地面に這いつくばったまま動かない。否、魔法で動けない。

まずい!聖剣の封印を解く前にこいつが来ちまった。────

アルマの中で世界がゆっくりになる。
ロキは足を上げる────

どうする?婆っちゃんはなんで動かない!?────

その足をサリムが踏んでいた魔法陣に乗せる。
次の瞬間、

ロキの魔力が聖剣に向けて放たれた。
「な、何!?」
全ての属性の魔力を受け、中心の魔法陣は光を放ち始める。
「お前、どうして?」
「・・・貴様はアーサーの孫だろう?ならばそれは貴様の物だ。
騎士アーサーの孫なら────剣を持て。」

そして、アルマの視界は光で埋め尽くされた。

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