天魔界戦

皇神凪斗

第35話 鎧の戦士

太陽の光が入らず、空気が冷たい洞窟の中で戦いの火花が散る。
まずアルマとレイジが『魔装』を発動、武器を構え駆け出す。
メルも後ろで杖を構える。
「・・・威力を抑えて・・・『ロックジャベリン』!」
メルの正面に魔法陣が現れる。そして、小さなトゲトゲした岩が五、六個放たれる。
アルマとレイジを上手くすり抜け、鎧の三人へと向かって行く。
小柄な鎧が弓を構え、矢を一本だけ放つ。
その矢が岩に触れた瞬間、先端が少し光る。そして爆発、他の岩も同時に砕く。
「!?・・・矢が爆発?」
「いや、矢に紙のようなものが巻き付いていた。きっと魔法の道具か何かだと思うよ。」
「弓の人は私に任せてください!『雷槍』!!」
メルの杖から雷が放たれる。それは真っ直ぐ槍の形で飛んで行く。
それに答えるようにまた矢を放つ。今度は地面に向かって。
矢が地面刺さると、また先端が光る。そして、そのから土の壁が生まれる。それがメルの『雷槍』を防ぐ。
その間に、二人の鎧が前進する。アルマとレイジも接近。
弓が二人に放たれ無いようにメルは邪魔をする。ならばこちらは早めに決着を付けなければならない。
「行くよ!アルマ君!」
「OK!」
背の高い鎧が戦斧を振り下ろす。レイジが片手剣を斜めにして受け、地面に逸らす。
残る一人にアルマは大剣で斬り掛かる。大剣を持つ鎧が受け止める。
アルマの大剣を押し返す、続けて反撃。その右手をアルマは蹴りあげる。しかし、それは躱されてしまう。
攻撃は阻止できたものの、アルマは驚愕した。

俺の行動を読んでる?
いや、分かっているのか?俺のアーサーの戦い方を。

「その戦い方・・・いや、まさかな。」
「あんた、何を知ってる?」
「貴様の知ったことではない。」
「そうかよ!」
アルマは大剣での攻撃を再開する。戦斧の鎧は後ろから斬り掛かろうとしたものの、レイジは足を払い阻止する。
大剣の鎧はアルマの攻撃を受け止める。アルマは蹴りを繰り出すが、足を上げて受け止めるられてしまう。
剣を引っ込め、違う角度から何度も斬り掛かる。その攻撃全てに着いてくる大剣の鎧。
「『黄金の剣』!」
アルマの左手にいつもより小さめな、右手の大剣と同じくらいの光の剣が現れる。
今度は二本での猛撃、少し押していくものの。鎧に当てられることは無い。
「あんた、強いな。」
「小童に負ける程、老いてはいない!」




レイジは『雷電ライジング』を使用して戦斧の鎧を翻弄する。
しかし、攻撃を的確に読んでギリギリの所で防がれる。そして、リーチの長い戦斧を振り回す。
その隙をつこうとするものの、誘導されているのか防がれる。
「だったら・・・『轟雷槍ごうらいそう』!」
レイジの腕から雷が放たれる。それはメルの『雷槍』よりも数倍の太さとなる電流が、宙をかけ抜け戦斧の鎧へと迫る。
すると突如左腕の鎧を外し投げ捨てる。
そして、電流はそれを貫通するが、斜め上へと逸れていき天井に消えていく。
「なっ!その腕は・・・!?」
レイジの言葉にアルマも少しだけ振り返り、唯一露になった肌を見る。
「こいつらは・・・!?・・・人間なのか?」
そのほっそりとした女性だと思われる腕。
その肌はなんと────

───腐っていた。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品