天魔界戦

皇神凪斗

第30話 魔法の真意

新街の元住民達は管理政府で保護され、詳しく話を聞くことに。
レミアールとルーズはアルマ達から詳しい話を聞くべくグランギルドまで付いてきた。
そしてギルド内の会議室に集まる。
ギルドマスターのグラン。
現場を見たアルマ、メル、レイジ。
管理政府から来たレミアール、ルーズ。
カイトはメルの魔法で傷は塞いだもの、体力の消耗が激しかったので医務室のベッドで寝かせている。
「新街まで来てくれてサンキューな。助かったぜ。」
「いえ、森に伐採に行っていたお爺さんより、『何やら竜のようなものが暴れている』と通報がありまして。嘘かと思いましたが最低限の兵で調査しに行った所、貴方がたと居合わせましたので。
私はギルドの人間を助けるつもりで行ったわけではありません。」
「・・・あぁ、そうかい・・・。」
微妙な顔をせざるおえないアルマ。
そこでグランが口を開く。
「まあ、結果的とは言えウチのもんが世話になったな。俺からも礼を言うぜ。」
「そこまで言うなら受け取っておきます。・・・それで、何があったか聞かせて貰えますか?」

情報屋シュウトに会った事、黒死竜と戦った事、無法者デスペラードのロキがいた事などを語った。
黒死竜についてはやはり目で見ないと信じられないと言う様子だったがそれは新街の元住民に聞けばわかる事だろう。

「街を滅ぼす魔法、あれは一体何でしょうか?」
とりあえずは自分の見たものという事で魔法について意見を求めるレミアール。
新街が街として小さい方だとはいえそれを一発で破壊する魔法など聞いたことがない。
ここは魔法に詳しいメルの出番だ。
「私も色々本を読んでるんですけど、見た事も聞いたことも無いです。
そもそもあんなに大規模な魔法は本に書かれないんですよ。」
「だったらなんであいつロキは使えたんだ?」
その場にいる全員の疑問を口にするルーズ。
「これは原初の魔女さんが書いた魔導書に、『魔法は自分の命を守るもの。よって命を奪うことのみを目的とした魔法を私は創らない』って書いていたことで、その後魔導書を作る際にはこの言葉を意識するようにしたんです。」
「しかし、魔法の殆どは他人を傷つける物ばかりではないですか。本当に命を守りたいなら魔法なんて世に広めなければ良かったのでは?」
レミアールは現実を語る。それは冷酷ながらも納得出来てしまう。
彼女自身も魔法を使っているが、それでも無い方が良いと考えるのは人を守る事を常に考えている人の思考なのか。
「でも原初の魔女さんはそれが人の為になると思って研究をしてたんだと思います。
魔動車だって魔力が少ない人でも早く移動出来るように作った物で、人を轢く為に使われるなんて思ってないはずです。」
レミアールは少し目を瞑る。
「・・・失礼しました。あなたに追求すべき論ではありませんでしたね。
話を戻しましょうか。」
ルーズはレミアールの言葉にヒヤヒヤしていたようだが、冷静になったレミアールを見て安心した顔になる。
「全く・・・真面目ちゃんだなレミアは・・・。さて魔導書に書かれていない魔法を使う方法・・・か。」

「そりゃ魔法を創ったに決まってるじゃない。」

声が聞こえてきた。女の人の声。
まだ若い、すこし挑発的な口調に高い声。
それが『部屋の外』から聞こえた。
全員がその部屋のドアに集まる。それを待っていたかのようにドアが開く。ゆっくりと。
そこには魔女がいた。
腰まで伸びた真っ白な長髪の上に乗るのは黒くて大きなとんがり帽子。
ボディラインを強調するような黒いローブは肩や谷間、太ももより下が露出している。
そんなまさに魔女と言う格好をした『少女』が箒を抱えるように腕組をして立っていた。

「あ、婆っちゃん」

間抜けな声がアルマから漏れた。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品