天魔界戦
第28話 黒死竜の正体
アルマの視界を埋めたもの。それは『黒い霧』だった。
黒死竜の体内から爆発するような衝撃と共に、周囲に『黒い霧』が発生する。まるで煙玉のように。
目が見えない中で、魔装が剥がされていくのを感じてその事を意識するアルマ。
しかしながら、アルマの身体は黒死竜の爆発によって吹き飛ばされている真っ最中。
視界が開け、『黒い霧』から開放されたのを確認すると、地面に激突する前に魔装をもう一度纏う。
地面を何度か跳ねたものの、大した傷は無かった。
「『心臓』を破壊したのに爆発するってどうゆう事だ?」
その言葉に視界の外から答えが飛んでくる。
「『心臓』ではない。『核』だと言っただろう?」
「だからその『核』が『心臓』の事じゃないのか?」
「違う、奴の『心臓』はまだ潰れていない。」
「あ?」
空に漂っていた『黒い霧』が消える。
それによりその下、ミステリーサークルのようにすり減った地面に一人の人間が倒れていることに気づく。
「・・・人、なのか?」
アルマは二つ疑問を浮かべる。
何故、そんな所に人が倒れているのか。
───そして、何故その人間の身体は黒いのか。
そこに倒れているの人間型のそれは、全身が日陰にいるのかと思う程黒かった。
「あれは人間ではない。────竜人だ。」
「竜人?・・・。人間と竜の混血ってやつか?」
「人が竜の力を得たもの、竜が人に化けたもの・・・と、いろいろ説はあるが少なくともあれは人間ではない。」
「・・・まさか、気づいてたのか・・・?」
「竜が人の言語を理解できるわけないだろう。」
この世界では様々な生物が存在するものの、大陸に別れ、何があっても不干渉なのが暗黙のルールというやつだ。
巨人でも竜人でも、姿形は伝わっていても文化も歴史も共有はしていない。
つまり、本物の竜が人間を言葉を知っているはずがない。
そして、竜に変身する人間や魔法も存在しない。
そうだ、最初からロキは『核』だと言う遠回しの言葉を使っていた。
「それじゃあ、あの竜人の『心臓』を──」
「アーハッハッハッハ!!素晴らしい!君たちは実に協力的だね。感謝しよう。」
突然高らかな笑い声を上げたのは、この騒動の元凶とも言うべきガゼルの姿だった。
二人の魔道士とともに空中に浮かぶ魔法陣に乗って戦闘の跡を見下ろしていた。
「まさか私の身を守ってくれた上、暴れだしたトカゲまでも大人しくしてくれるとは。
正直、その竜を支配する機械や魔法は完成していなかったのでね。実に助かった。」
「だけど残念だったなぁ?あんたの苦労はこれで水の泡だ。」
「フンッ!まだ私には新街とこの軍隊がある!」
ガゼルが手を広げると、いつの間に近づいたのか、木々の間から鎧と剣を握ったものとローブと杖を手にしたもの。総勢五百人くらいだろうか。
その軍隊の矛先がアルマとロキに向けられている。
無論二人はこの軍隊に気づいていた。
「んっしゃー!もうひと暴れするぜ!」
まだ戦意を残しているアルマ。そしてロキはアルマへ手を伸ばす。
「・・・アルマ。」
「おう!」
ロキはその手をアルマの肩へ置く。
次の瞬間アルマの視界が一変する。
目の前にいたのはおのおの武器を構えた殺気溢れる集団ではなく、恐怖の表情でトボトボ歩く一般市民の姿とそれを誘導しているレイジとメル。木に背中を預けて座り込んでいるカイトの姿だった。
「・・・!アルマ君!無事だったかい!?」
少し慌てた様子で駆け寄ってくるレイジ。
「あ、あぁ。とりあえずデカブツは倒したけど───」
ん?待てよ。なんでロキは俺を転移させた。あいつの目的は俺と戦う為に俺を生かすこと。
しかし、あの軍隊程度なら俺にとって脅威にはならない。あの黒死竜さえ倒せればそれで目的は果たされるんじゃないのか?
そう考えるのも束の間。
「な、なんだあれは!?」
歩いていた一人の男が声を上げ、上を指さす。
皆の視線が、一度その男へ行き続いて上へ向けられる。
その光景には驚く他なかった。中には目を擦り、震える手を見つめる者もいた。
皆の上空、そこには大きな魔法陣が浮かんでいた。
その大きさが尋常ではない。
新街より二回り程大きく、視界に入り切らない。
そして、その魔法陣の中心には────
腕を組んだロキの姿があった。
黒死竜の体内から爆発するような衝撃と共に、周囲に『黒い霧』が発生する。まるで煙玉のように。
目が見えない中で、魔装が剥がされていくのを感じてその事を意識するアルマ。
しかしながら、アルマの身体は黒死竜の爆発によって吹き飛ばされている真っ最中。
視界が開け、『黒い霧』から開放されたのを確認すると、地面に激突する前に魔装をもう一度纏う。
地面を何度か跳ねたものの、大した傷は無かった。
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「だからその『核』が『心臓』の事じゃないのか?」
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「あ?」
空に漂っていた『黒い霧』が消える。
それによりその下、ミステリーサークルのようにすり減った地面に一人の人間が倒れていることに気づく。
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アルマは二つ疑問を浮かべる。
何故、そんな所に人が倒れているのか。
───そして、何故その人間の身体は黒いのか。
そこに倒れているの人間型のそれは、全身が日陰にいるのかと思う程黒かった。
「あれは人間ではない。────竜人だ。」
「竜人?・・・。人間と竜の混血ってやつか?」
「人が竜の力を得たもの、竜が人に化けたもの・・・と、いろいろ説はあるが少なくともあれは人間ではない。」
「・・・まさか、気づいてたのか・・・?」
「竜が人の言語を理解できるわけないだろう。」
この世界では様々な生物が存在するものの、大陸に別れ、何があっても不干渉なのが暗黙のルールというやつだ。
巨人でも竜人でも、姿形は伝わっていても文化も歴史も共有はしていない。
つまり、本物の竜が人間を言葉を知っているはずがない。
そして、竜に変身する人間や魔法も存在しない。
そうだ、最初からロキは『核』だと言う遠回しの言葉を使っていた。
「それじゃあ、あの竜人の『心臓』を──」
「アーハッハッハッハ!!素晴らしい!君たちは実に協力的だね。感謝しよう。」
突然高らかな笑い声を上げたのは、この騒動の元凶とも言うべきガゼルの姿だった。
二人の魔道士とともに空中に浮かぶ魔法陣に乗って戦闘の跡を見下ろしていた。
「まさか私の身を守ってくれた上、暴れだしたトカゲまでも大人しくしてくれるとは。
正直、その竜を支配する機械や魔法は完成していなかったのでね。実に助かった。」
「だけど残念だったなぁ?あんたの苦労はこれで水の泡だ。」
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その軍隊の矛先がアルマとロキに向けられている。
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「・・・アルマ。」
「おう!」
ロキはその手をアルマの肩へ置く。
次の瞬間アルマの視界が一変する。
目の前にいたのはおのおの武器を構えた殺気溢れる集団ではなく、恐怖の表情でトボトボ歩く一般市民の姿とそれを誘導しているレイジとメル。木に背中を預けて座り込んでいるカイトの姿だった。
「・・・!アルマ君!無事だったかい!?」
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ん?待てよ。なんでロキは俺を転移させた。あいつの目的は俺と戦う為に俺を生かすこと。
しかし、あの軍隊程度なら俺にとって脅威にはならない。あの黒死竜さえ倒せればそれで目的は果たされるんじゃないのか?
そう考えるのも束の間。
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