天魔界戦

皇神凪斗

始まり その2

この街、スティルマは魔法と工業が発展している。人を乗せて浮いたまま走る鉄の塊(魔動車)や3Dの映像が浮かびニュースが始まったりと、1ヵ月ほど住んでいるが飽きない風景である。
しかし、色々ありすぎて道がよくわからない。グランギルドの建物はそれなりにデカいが、基本的に大きい建物しかないこの街では目印にならず、視界から外さないように走っていた。
その時、1人の女性が目に入る。正確にはその女性が持っているギルドカードだ。
おぉ!同じギルドじゃん。なら道もわかるだろ。
「お〜い!ちょっといい?」
その女性は声に気づきあたりを見回した後、走ってくるアルマを見つけると少し不安そうな顔をする。
あれ?もしかしてナンパかと思われてる?
一応ギルドカードを見せながら遠慮がちに聞いてみる。
「えっと、グランギルドに行きたいんだけど道分かる?」
その女性はギルドカードを見ると不安そうな表情が消え、少し嬉しそうな顔をする。
「アルマ・・・さん?すみません、私にも道はわからないんです。」
「呼び捨てでいいぞ。それで名前を聞いても?」
「あ、はい。私はメルといいます。今日からグランギルドに入団します。」
メルは腰まである黄緑色の髪をサイドテールでまとめ、ピンク色のうさ耳のついたパーカーに短パン姿だった。
「おう、よろしくな。で、なんでギルドカードを見てたんだ?」
ふと浮かんだ疑問を聞いてみる。
「それが、ギルドカードの裏に魔法陣が・・・。」
「ん?あ、ほんとだ。」
自分の顔写真と名前、『グラン』のギルド名と紋章の様なものが彫ってある表しか見ていなかったが、裏にはただ一つ、魔法陣が描かれていた。
魔法陣とは魔力を魔法に変える型枠の様なものだ。魔力が電気だとすれば、魔法陣は中の物を温める電子レンジだ。そして魔道書などに乗っている魔法陣に魔力を流すことで、自身に流れる魔力に『記憶』し、魔法を使う時に感覚で展開する。
「とりあえず使ってみるか。よっと!」
ギルドカードの裏に書いてある魔法陣を記憶し、発動する。
アルマの足元に直径1m程の魔法陣が現れる。魔法陣には訳の分からない模様がいくつも書かれているがギルドカードに彫ってあるものと同じだと言うことは分かる。
魔法は神から授かった『原初の魔道書』で人類は魔法の存在を知ったが、実際に魔法が使えるようになったのはほんの50年程度前の話だ。魔法の研究しているものならともかく、一般人に魔法陣の解読は出来ない。
「こ、これは!!」
「ど、どうしたんですか?」
「この街の!!!」
「・・・この街の?」
緊張の空気がただよう。風が吹き、空き缶が転がる。








地図だ!!」







「へ?地図?」
地図だった。このスティルマの地図で赤く記されている所に『GRANN』と書いてあり。黄色い線がアルマの所へ繋がっていた。
「ギルドまで案内してくれるのか?おー、こりゃ楽でいいぜ!!んじゃ行くぞー?」
「あ、えっと、はい」
メルは全く展開についていけないが、アルマを追うことにした。

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