剣姫様は自由人!

眠り人

第1話 王と団長

目が醒める。まだ外は薄暗い。温かい布団が誘惑して来たが、それを跳ね除けて、布団から出る。朝の支度を終わらせたのち、鉄の剣を腰の鞘に納めて訓練所に入る。『訓練は怠るな。』これは、師匠の言葉だ。『訓練を怠れば、実戦でへまをする。そして、命を落とす。死にたく無ければ、訓練を怠るな。死にたい奴から訓練を怠れば良い。もちろん、そんな奴を実戦に出すわけには行かない。そんな奴は、俺の前から立ち去って貰う。』師匠の口癖だ。訓練の前には、絶対にこの言葉を弟子達にかけていた。師匠の言葉を忘れぬように、魔王を倒す旅の途中にも、この時間に起きて、素振りと走り込みをしていた。本日の練習メニューは、鉄の剣を腰に3本と手に二本持った状態で、10㎞走るトレーニングと錘の付いた鉄の剣で素振りをするトレーニングだ。この鉄の剣は、ロングソードとも呼ばれ、本来は両手持ちだ。だが、ラークはそんな事御構い無しに、走る。五分程で走り込みは終わってしまった。なので、残りは素振りだ。素振りに使う剣は、先ほどと同じ物に、30㎏の錘をつけたものだ。この状態では鈍器に近く、この武器で戦う際は切り裂くよりも、潰すの方があっている。20分ほど素振りをしていると、男の人が来た。この国の王宮騎士団『バハムート』の騎士団団長のアレクだ。
「おはようございます、アレクさん。」「おはよう、ラーク。今日も朝から励んでいるな。うちの部下達にも、見習って貰いたい。」「アレクさんの部下達も頑張っているじゃないですか。」「うむ、勇者にそう言って貰えると嬉しいな。」
アレクは、ラークとシオンを除けば、この国では最強だ。ステータスにて表示されるレベルは、340だ。この数字は、人類でも高く、世界トップスリーよ実力だ。ラークとシオンを除いたランキングで、だが。ラークとシオンは、お互いにレベルはMAXとされている1000だが、ステータスに表示されないだけでまだレベルは上がっている。恐らくだが、レベル2500程だ。この世界でこの二人に勝てるのは、この二人のみと言われる程だ。
「そうだ、アレクさん。」「ん?どうした?」
ラークは素振りをしたままアレクに喋りかける。
「明日からオルフィス様と旅をする事になりました。」「そうか、どれくらいの期間だ?」「あれ?驚かないんですね?」「ああ、どうせ、オルフィスの思いつきだろ?」「まぁ、そうですが。」
(この人、オルフィス様の扱いに慣れてるな。)と思いながらも、それを口にする事は無かった。
「それで、期間はどれくらいなんだ?」「2年という事になってます。」「そうか、それくらいならあいつも文句は言わんだろう。」「あの、あいつって、王様の事を言っていますか?」「ああ、王以外に誰が文句を言うんだ?」「そう言う事じゃ無くてですね、相手は王様なんですから、いくらアレクさんでもあいつ呼ばわりはいかないと思うんですが……」「そんなこと、其奴には既に許可は出しておるよ。」
突然話に入って来たのは、この国『オルバリア帝国』の王ラファースト・オルバリアだった。ラークは素振りをやめて、ラファーストの方を向きひざまづいた。
「表を上げい、勇者ラークよ。それと、お主とシオンには、この国からの許可証を出そう。」「ありがとうございます。」
その後、訓練を終えて、街中で買い物をした。街に出る際には、目立たぬように認識阻害が付いたフードを被っている。買った物は、ポーションと野菜だ。買った物は、収納魔法により収納している。これにより、ポーションの劣化を止められ、野菜も痛まずに、いつまでも新鮮だ。旅で必要な物を後何点か購入して、帰路に着いた。明日からは、この国を出て旅をする。久しぶりの旅だ。楽しまないとな。そんな事を思いながら、家まで歩いた。

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