悪魔令嬢は婚約破棄を許さない

こうじ

後日談

 婚約破棄騒動から数日後、

 クラウシアは教会に呼び出されていた。

「お呼び出しして申し訳ない。」

「いえいえ、お呼び出しされればいつでも馳せ参じますわ。」

 クラウシアの前にいるのは若き司祭、実は今回クラウシアとレナウドの式を取り仕切る筈だったのである。

 当然、クラウシアのもう一つの姿を見ている。そして、クラウシアの真実も知っている。
「今回、呼び出したのは騒動の後始末がつきましたので報告をさせていただきます。まず、騒動を起こした本人であるレナウドとセイナについて長期入院になりました。まぁ肉体的な傷もそうですが、精神的なダメージが深かったみたいで社会復帰は絶望か、と。」

「加減はしたつもりなんですが・・・・・・。」

「ミゼル司祭は騒動の責任を取り役職を退かれました。ヒューガン伯爵も隠居なされるそうです。」

「そうですか・・・・・・。」

「それでクラウシア嬢?貴女についてですが、教会の総意としましては不問と致します。」

「・・・・・・え? 司祭の娘を痛みつけたんですよ、私は。」

「それに関してもセイラ嬢が悪いんですから、自業自得と言う事で。まぁ本音を言えば上層部は貴女と敵対関係にはなりたくないんですよ。」

「それは私が魔王の娘、だからでしょうか?」

「それも勿論ありますがミゼル元司祭が大司教様に魔族に対する考え方を改めるよう説得されたそうです。『魔族も私達も対して変わらない。魔族を一方的に敵と決めつけるのはよくない。』と。私もミゼル元司祭の部下ですから、元司祭の考えには賛成しています。」

「そうでしたか、私は教会と事を荒立てる事はしたくありませんわ。」

「それでですね、これは私個人としてのお願いなんですが・・・・・・、私と付き合っていただけないでしょうか?」

「・・・・・・はい?」

 司祭の告白に固まったクラウシア。

「あの日、クラウシア嬢の、あの姿を見て私は惚れてしまいました。司祭としては失格かもしれませんが、私個人としては美しい、と感じてしまいました。」

 自分の姿を見て美しい、と?

 なんだか目の前にいる若き司祭が可愛く感じた。

 クラウシアはニッコリと笑い

「まずはお友達から始めましょう。」

 
 その数年後にクラウシアと若き司祭は結婚式を挙げ、司祭は婿養子としてルジュール家の跡取りとなった。

 また、後日ルジュール家に魔王が乗り込んできてクラウシアと親子喧嘩の末、和解したのは別の話。

 その、数年後には教会と魔族は友好な関係を保つ事になったのも別の話。 

  

 

 

 

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