君なんてダイキライ!

那月 綾

君を知っている


少し長いお話です…

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 俺は、ずっと前から、君を知っているよ

それは、初めて君に恋をしてから一度も君を忘れたことがないよ。

でも、君は、俺のこと忘れてる。

ねぇ、‘’僕”のこと…早く思い出して?


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「おっはよう!春香さん!」

「あー、おはよ…」
俺は、神崎愛斗!高校一年生!…って………なんか、マンガみたいで嫌だな…やめておこう。
コホン…えー、まぁ、突然ですが…俺と、春香さんは、ずっと前から出会っております!
でも、春香さんは俺のこと覚えていないと思うけど…

でも、

「      俺は      」

『…      僕は       』

ちゃんと     覚えているよ?

          君のこと…ー。

     あの日から、ずっと…

    忘れたことがなかった…

………………………………………

「それでは、7月31日までとなります。…ありがとうございました…」
当時 十歳 小学4年 神崎愛斗
(…つまんない本ばかりだな)
僕は今、夏休みの宿題を終わらせるため図書館に来ている。。そして、夏休みだけ通っている。今いる図書館は僕の家から遠い。車で約十分はかかる。自転車だと、それの二、三倍ぐらいだ。僕は、自転車で来ている。だが、毎日通うとなると、だんだん面白い本がなくなり、退屈をする。その状況にあっているのは、多分…ここに来ている中から、僕しかいないだろう。でも、そんな時だった。
「はぁ、……あそこ空いてる…座……ろ……」

                       ド        ク       ン

あの子に出会ったんだ。
      パラ                 パラ
「……………………」
あの子の髪が光に当たっていて、一目見ただけでもわかった。
(……キレイ…)
それから僕はあの子から目が離れなかった。
(…あの子、名前、なんて言うんだろう…)
僕は、彼女の所に行き、どんな本を読んでいるか気になった。そして、後ろから、チラ見で読んでみた。
すると、とても面白い本だった。僕はいつの間にか夢中になって、あの子と一緒に読んだ。


あれから、数時間が経ったんだろう。彼女はいきなりページをめくっている手を止めた。
‘’どうしたんだろう”と顔を上げると彼女はびっくりした様子で僕を見ていた。
僕は頭が真っ白になっていた。
(…ど、…どうしよう…)
そう思って僕は適当に答えた。
「………ぼ、…………僕も、それ読みたい!」
(あああぁぁ!!!!どこかの穴に入りたい!!)
僕は恥ずかしくなり、逃げ出したくてたまらない。
「…………いいよ」

「…え?」
僕は一瞬、耳を疑った。だが、次の言葉でその疑いが崩れた。‘’いいの?”と、思うくらい。
「…一緒に読も?…」
僕は嬉しさでいっぱいだった。
それから、あの子と会う度に一緒に本を読むようになった。彼女と読む本は面白い!!
僕は‘’こんな時間が続ければいいのに”と思った。けど、小6の夏、彼女は、ぱったりと来なくなった。
(…なんで?)

(……どうして?)

(…何かあったのかな?)
僕は何時間も待った…けど、彼女は一度も来なかった。
僕は帰ろうと足を動かそうとした時本の受付をしている人が、僕に何かを渡した…それは手紙だった。僕は中を読んでみると、それは彼女からの手紙だった…

『        愛斗へ

     急に引っ越すことになった。何も言わずに、お別れしてごめん。

でも、君と本を読む時、楽しかったし、面白かった。夏の間だったけど

この二年間、ありがとう。

また、どこかで会おう。

さよなら。                          』

僕は泣いた。そして、手紙を読んでいた気づいた。

こんなに悲しいのは、辛いのは、きっと、僕は、あの子に、『 恋 』をしていたからだ。

…と。

もし、また、会うことが出来るのなら僕は、あの子に『 好き 』と、言いたい。……伝えたい……

だから、神様、お願い、もう一度、あの子に合わせてください…

…………………………………………

こうして、俺と春香さんは出会った。いや〜…なつかしいねぇ〜。
…いや、いろいろと飛ばしたな…まぁー、細かい話はまた今度〜!
「ね、ね、春香さん!」

「?…何?」

「………俺の顔を見てなにか、思い出さない?」

「?…………………ん〜、言われてみれば、どこかで………?」

俺はその答えに期待をした。‘’思い出してくれるかもしれない”と。でも、やっぱり駄目だった。
「…ん〜?……やっぱり分からない…」
春香さんは、まだ俺のこと、思い出していないようだった。もしかすると、さっきの「どこかで…」は、冗談かもしれん…
「…でも嘘ついてないよ…ただ、昔の頃だからあまり覚えてないだけ……」
俺はその言葉に少し希望を抱いた。
そして、あの頃の俺とは違って、正直で明るい、本当の俺を出していつも通りの会話をする。
「…そっかー…ま、覚えてないのは仕方ないし…あっ!そうだ!春香さん!…今日、あいつの誕生日だって知ってました?」

「…大和さん?」

「…そうそう」

「へー…」

「いや、興味持ってくれよ〜!!!」
今は、覚えていないかもしれない。けど、ゆっくりでいい。俺、思い出してくれるよう、君のために頑張るよ。あの頃みたいに君が、笑ってくれるように……

アァー、

早く思い出して

早く、この思い…伝えたいな…

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