人工知能な女の子

伊吹若葉

宿題の月曜日

  家に着いた僕はベッドに寝転がりススキに言われた一言が原因でセンカのことを考えていた。「人の恋路は邪魔しない」という言葉だ。


  あのススキがこんな事を言ってくるということは、僕がセンカを好きだという雰囲気がかなり分かりやすくでているのだろうか。


  僕はセンカのことが好きなのだろうか。僕自身全く分からない。もちろん嫌いではないし、むしろ周りの子への好意と比べれば、僕がセンカへ寄せるそれは幾分か大きいと思う。


  だからといってそれが好きだと言い切れるわけじゃないことくらい誰にだって分かるはずだ。ましてセンカはAIだ。その監視役として指名された僕がセンカを好きになって良いわけがない。


考え出したらキリがなかった。今までの行動はセンカの意思なのか、プログラミングされたものなのか。そもそもセンカは僕のことをどう思っているのか。クラスメイト?友人?監視員…。


あるいはそれ以外なのか。





–気がついたら眠ってしまっていたようで、母親が夕食ができたと僕を呼びにきた。食事を済ませ自室に戻るとある事を思い出す。

「交通手段を調べなきゃ」

  センカに任された僕の仕事だった。そんなにすぐ調べる必要はないのかもしれないが、余裕を持って計画をたてたかった事と、(朝は基本的に話ができるものの)センカといつ話せるか分からないことを理由に早め早めに調べておこうと考えたのだ。


  交通手段を調べるといってもそんなに難しい事ではなかった。今の時代携帯を使えばその場で目的地まで案内してくれるし、気構えとしては道順、使用する公共交通機関の予習といった感じだった。


  予想通り調べる事にそんなに苦労はせず、バスと電車の時刻表をプリントアウトすると、それをクリアファイルに入れた。


  遊んでいる当日ももちろん楽しいだろうが、準備している今も想像が膨らみワクワクする。こんな話をしようとか、このアトラクションに行こうとか。想像の中だったらどこまでも上手くいくから一度考えだすととまらない。


  しばらくしてなんとか現実世界に戻ってきた僕は今週末への期待に胸を躍らせていた。

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