人工知能な女の子

伊吹若葉

沈黙の後に

「え!センカ…」
ビックリしてかなり大きな声を出してしまった。

「何を驚いているんですか。私を待っていたんでしょう?」

それは間違いないのだが、センカについて考えているときに、センカが現れたから驚いているのだ。


「ところで、いつからそこにいたんだ?」

確認も兼ねて尋ねてみた。


「さっきです。小難しい顔をしていたので話しかけずにいたら突然『よし、頑張ろう。』って。だから安心してください。何を頑張るのかは知りませんよ。」


最終的には伝える形になるのだが、ひとまず安心した。


「考え事が終わったようなら帰りましょうか。」
彼女は少しだけ優しい口調でそう言った。

そうだね。と返事をして僕たちは学校を出た。





  しばらく沈黙が続いていた。
僕が静かなのは誘うタイミングを見計らっていたからだし、彼女が静かなのは自分から話しかけたりしないからだろう。


「ナルセさん。」
またしばらくして彼女が口を開いた。


「はいっ。」
再び不意を突かれ、変な返事になってしまった。


「今日ちょっと変ですよ。何を考えているんですか?」
  この流れは以前にもあった。確か、朝教室で2人だったときに「顔色が…」という話をしたときだ。人を気遣っているつもりはないのかもしれないが、彼女の洞察力が優れていることは間違いないだろう。


「いや…。」と誤魔化しかけたが、ここを逃したらもうチャンスはない気がした。

実はさ。そういって僕が歩くのをやめると彼女も合わせて止まってくれた。


「さっきまで考えてたのは、どうやってセンカを遊びに誘おうかってことなんだ。もっと仲良くなりたい。だから一緒に遊びに行かないか?」

彼女の目を見てやっとの事でそれを伝えた。

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