実録怪異譚

第9話 少し怖い生霊の話

さて、そろそろ怖い話を始めましょうか。


私が聞いた中でトップ3に入る怖い話。
生霊の話。


生霊のと幽霊の違いは生きてるか死んでるか、ですよね? でも見えた時はどうやって判断するんでしょうか? なんとなく、生霊の方が怖いです。




その人は私がいつものよう振ると、こう言いました。
「あ〜私霊感結構あるんだよね〜」
このパターンで始めるのはアレです、ハードルが上がります。
あと私のように霊感のない人間は『自分には起こり得ない』と思って聞きます。なのでそこそこ怖いで終わってしまいがちです。


個人的には「なんか自分でも信じられないんだけど〜」からの入りを勧めます。
なになに〜! と前のめりになって聞きたくなります。




その人には優しいお兄さんがいるそうです。
そのお兄さんのお部屋はその人の部屋の向かい側でお兄さんはオープンな方で、結構ドアを開けっ放しにしてしたそうです。


そしてある時廊下にナニかいたらしいんです。見えはしないらしいですが、気配を感じる。なんか嫌な感じだったそうです。
最初はあまり気にしなかったそうですが、毎晩同じ場所にいるのです。
その人とお兄さんの部屋のドアの間ぐらい、お兄さんがドアを開けっ放しにしていると、部屋が覗ける位置。


ある日お兄さんの部屋で何か話していた時、視線を感じてその人が廊下を見ると。
ソレが睨んでいたそうです。普段は顔なんて見えないのにその日は顔も見えたそうです。
知ってる顔だったそうです。


「ねぇお兄ちゃん。前にうちに連れてきた彼女とどうなった?」
「あいつ? 別れたけど? なんで?」
「いや……今その人が廊下から見てた」
「はぁ!?」


お兄さんの話ではその彼女は嫉妬と束縛が激しくて一方的に別れたそうです。
お兄さんは優しいので中々女性にモテるそうですが、怒ると怖いらしいです。
そして怒ったお兄さんはその元彼女にその場で電話をしてキレたそうです。


その人は長くなりそうなので自分の部屋に帰ったそうです。


それにしてもお兄さんの勇気、素晴らしいです。私なら生霊になるような人に怖くて電話出来ません。祟られそうで怖いです。
あとなんて言うんでしょう?
「お前生霊になって家来ただろ!」とかいうのでしょうか? それはそれで変な人に思われそうです。


しかしそれ以降、廊下の気配はなくなったそうです。

          

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