異世界の経営学!
第1話 ホットスナックは店を写す鏡である
ーAM7:30ー
JR原宿駅は徐々に通勤ラッシュの模様を呈してきた。
睡眠不足と戦いながら出勤して行く社会人戦士を横目に、俺は睡魔に打ち負ける準備を着々と進行していた。
この時間帯の山手線は内回りも外回りも大概混んでいるが、新宿に着いてしまえばこっちのものだ。総武線の三鷹方面に向かう電車は一車両に片手で数える程しか人は乗っておらず、快適に家路へ向かえるのだ。
ウトウトしながらもJR吉祥寺駅で下車し、南口を出て井之頭公園の方面へ向かう。途中、公園を横切り、いせや本店を超え、歩くこと更に10分。我が家である[パークサイド朝霧]に到着した。
1LDKで家賃9万円と23歳のバイト戦士にしては少々立派過ぎるマンションだが、月収30万円を平気で叩き出す俺にとっては苦では無い金額だ。
ガチャ。
「ただいまー」
もちろん返事はない。
一人暮らしが長くなると家の中ではほとんど喋らない事に気付いてから、習慣的に「ただいま」「いただきます」「ごちそうさま」など、そういう類の挨拶と少々の独り言だけはする事にしているのだ。
マグカップに作り置きのアイスコーヒーを注ぎ、通販で買った[24時間座っても疲れない椅子]に腰掛ける。パソコンを起動させ、さほど興味も無いアニメを一本見終わると、いよいよ眠さがピークに達する。
ーAM9:40ー
俺は[24時間座っても疲れない椅子]の上で深い眠りに落ちた。
「ねぇねぇ。君の名前を教えてよ。」
「うるさいなー。今日も夜勤なんだよ」
「ねぇーってばー!教えてよー!」
「そもそもお前は誰なんだよ!」
「僕?僕はファジー。妖精島[クックリクス]に住む妖精だよ!」
これは明らかに夢だ。
夜勤も今日で5連勤目。
夕方16時から入ってる日が続いてる事もあり、1日の就業時間は休憩を除いて14時間を超える。
今月も月収30万円コースだ。
疲れが溜まっていてもおかしくない。
俺は気付く。
夢の中で『これは夢だ』と確信する事は滅多に無いんじゃないか。
この『ファジー』と言う妖精に付き合ってみるのも面白いかも知れない。
俺はゆっくり目を開けた。
目の前には手のひらサイズで緑色。俗にゆうエルフの様な身形をした妖精が漂っていた。
「ねー名前教えてくれないの?」
「アヤタだ。十条綾太。」
「アヤタ!いい名前だね。。それでアヤタはなんでここに来たの?」
(なんでって。そんなの知ったこっちゃない。だってこれはただの夢だからな)
「さぁな。そんなに人が来るのが珍しいのか?」
「珍しいというか、、ここは『狭間』だから」
「狭間?」
妖精のファジーは自分の周りを蝶のようにヒラヒラと飛び回る。
目線が左右上下に散らかる。
周りを意識しだした俺はその光景に絶句した。
「ちょっと待て。なんだよここ、、すげー、、」
ここが夢だと理解していても、この感動は本物だと確信できる。
虹色の花で埋め尽くされた大地。
空へと登る大きな運河は、遠くの方で天の川へ昇華する。
龍やペガサスなどの空想上の生き物たちが生態系を作り穏やかに暮らしている世界。
「これが『狭間』全ての世界が交差する唯一無二の場所」
綾太は思わず一歩前へと踏み出す。
「だめええ!」
ファジーは大声を出しながら、綾太の服の裾をギュッと掴んだ。
「『狭間』はとっても不安定な場所なんだ。迷い込んだら最後、元の世界に帰れなくなっちゃうよ!」
「へー帰れなく、、って、まじかよ!それを先に言え!」
「アヤタ見て見て。ふわふわ飛んでる白い玉みたいなのがあるでしょ。」
「さっきからふわふわしてる『たんぽぽの綿毛』みたいな奴か?」
綾太の周りには無数の『それ』が地面から上空に向かって舞い上がっている。
「これは『生命の魂』これから彼らは天界に向かって旅をするのさ。」
「な、、死者の通り道にもなってる訳か、、そいつは笑えねぇな、、俺は大丈夫だよな?」
「アヤタはちゃんと実体もあるし大丈夫!、、なはず。そっちの世界で死に近い何かがあるのかもしれないけど、、」
考えられるのは一つしかない、労働基準法とは何かと考えさせる俺のバイト量だ。
「心当たりは山ほどあるが、こんな夢を見るまでとは思わなかったよ」
「夢?アヤタは面白いなー!あっ、いけない!、、ほら綾太が来たゲートも収縮が始まってる。そろそろ帰らなきゃ!」
振り返ると、光の渦の様な物が少し後ろに浮かんでいた。最初のサイズは知らないが、今はもうバスケットボールほどの大きさしかない。
俺は必然的且つ衝動的にその渦に向かって手を伸ばす。
「アヤタ!また遊ぼうね!」
「もう来ねーよ!バイトのシフト減らすって決めたし!」
「アヤタと僕はまた会えるよ!きっと!」
光の渦に手を触れる。
次の瞬間、綾太は『狭間』から消失した。
ーPM18:00ー
スマホのアラーム音がけたたましく鳴り響く。
いつもは素早い動作で音を止めるが、なんだか頭が良く働かず、しばらくの間それを放置した。
「やけにリアルな夢だったな、、」
通勤の道すがら夢の事を思い出しては、あまりにも全てを覚えている物だから、少しばかり落ち着かない。
経験上、夢を事細かに覚えていた試しなんて無いからだ。
ーPM19:40ー
[ローサン原宿2丁目店]にはいつもよりやや早く到着した。
とりあえず事務所に入ると、エリアマネージャーの九童塔矢が店長の田島さんに説教をしている最中だった。
50代のおじさんが立ちながらぺこぺこ頭を下げ、20代の若者が椅子にどかっと座り、あーだこーだ言ってる様に毎度ながら社会の厳しさを痛感する。
「田島っちさー、何度言ったらわかるのかなー、、昼の時間帯に5分間も『から揚げちゃん』切らすとかマジないから!」
「でも切らしたのは『たった5分』だけですし、、」
九童は眼鏡を外し、ジャケットの内ポケットに忍ばせていたハンカチでレンズを磨きだした。
これは九童さんがイラついている時の癖だ。
「43.6人、、この店が昼のピーク時に5分で捌く平均人数だ。これは夜間2時から6時までの45.3人に匹敵する数だ。田島っちは夜間4時間分の販売機会をみすみす逃したんだよ。アンダスタン?」
「それとこれとは、、、」
「同じ事だよ。」
九童さんを論破するのは並大抵の事じゃない。
敵に回したら最後。確実に仕留められる。
「綾太も言ってやれよー」
「あ、はい、、とりあえずおはようございます」
「おはよう綾太君、、僕は発注でもしてくるよ、、」
田島は、すれ違いざまに綾太の肩に手を置き、哀愁を漂わせながら事務所を後にした。
「また説教ですか?ちょっと言い過ぎですよー、九童さん」
「田島っちにはあれくらい言わないと駄目なんだよ」
「そうですかねー。田島さんは仕事できると思うんですけど、、」
九童さんが下手くそにも親しみを込めて『田島っち』と呼ぶ田島光一と言う人物は元々横浜駅前店の店長で、3年連続予算達成率200パーセントを達成してしまったラーソングループでは伝説の人物だ。それを九童さんは自店舗に引き抜き店長に抜擢した。仕事ができない訳が無いし、『から揚げちゃん』を切らしたのもロスを防ぐために廃棄時間ギリギリ見極めた結果だ。
「ハァ、、、」
大きな溜息を吐く九童に驚いた。
九童は自分にとって上司である前に、『大学の先輩』だった。同じ経営学部で同じサークル、バイト先も同じ。そんな彼から溜息を聞くなんて初めての事だった。
「そんなに『から揚げちゃん』売り逃したのショックなんですか?」
「いや、昨日、、いや今朝かな。変な夢見ちゃってさ、、疲れてんのかなーって」
夢?そうだ、九童にシフトの相談をしてみよう。
夢と言うワードがスイッチとなり、不意に『狭間』の事を思い出す。
「九童さん、、俺シフト削ろうと思うんですけど、駄目ですかね?」
九童が少し驚いて、体勢を少し持ち上げる。
「なんだよ急に?」
「実は俺も変な夢を見て、、『死が近い』って啓示を受けたみたいなんです。働きすぎで」
笑いたければ笑うがいい。
夢の影響でシフトを減らす奴なんて俺も知らない。この気持ちは、あの世界を体感した自分にしかわからないだろう。
「なんだよそれ、、ハハ、」
やっぱり。そう思い九童の顔を覗き込むと、笑い声とは裏腹に顔は真剣そのものだった。
「綾太、お前まさか『狭間』行ったのか?」
「え、、!」
そこからは一瞬だった。二人の目の前には『狭間』であったのと同じ光の渦が現れ、まるで掃除機で吸い込まれるかのように引き込まれる。気付いた時には夢で見たあの場所に再び立っていた。
「これって、、、」
「さすがに理解できんぞ、、」
「フォッフォッフォッ!」
「「アハハハ」」
目の前には長い白髪に立派な白髭を蓄えた老人とエルフの様な身形の小さな妖精が二匹。一匹は見た事がある、、、『ファジー』だ!
「すまんのう、、二人が意識を共有するのがこんなに早いだなんて思わなんだ」
白髪の老人はゆっくりと間合いを詰めてくる。
二人のパーソナルエリアのギリギリで止まったかと思うと!申し訳なさそうに驚愕の一言を放った。
「お前ら殺しておいたから」
唐突に十条綾太と九童塔矢の人生は終わりを迎えたのである。
JR原宿駅は徐々に通勤ラッシュの模様を呈してきた。
睡眠不足と戦いながら出勤して行く社会人戦士を横目に、俺は睡魔に打ち負ける準備を着々と進行していた。
この時間帯の山手線は内回りも外回りも大概混んでいるが、新宿に着いてしまえばこっちのものだ。総武線の三鷹方面に向かう電車は一車両に片手で数える程しか人は乗っておらず、快適に家路へ向かえるのだ。
ウトウトしながらもJR吉祥寺駅で下車し、南口を出て井之頭公園の方面へ向かう。途中、公園を横切り、いせや本店を超え、歩くこと更に10分。我が家である[パークサイド朝霧]に到着した。
1LDKで家賃9万円と23歳のバイト戦士にしては少々立派過ぎるマンションだが、月収30万円を平気で叩き出す俺にとっては苦では無い金額だ。
ガチャ。
「ただいまー」
もちろん返事はない。
一人暮らしが長くなると家の中ではほとんど喋らない事に気付いてから、習慣的に「ただいま」「いただきます」「ごちそうさま」など、そういう類の挨拶と少々の独り言だけはする事にしているのだ。
マグカップに作り置きのアイスコーヒーを注ぎ、通販で買った[24時間座っても疲れない椅子]に腰掛ける。パソコンを起動させ、さほど興味も無いアニメを一本見終わると、いよいよ眠さがピークに達する。
ーAM9:40ー
俺は[24時間座っても疲れない椅子]の上で深い眠りに落ちた。
「ねぇねぇ。君の名前を教えてよ。」
「うるさいなー。今日も夜勤なんだよ」
「ねぇーってばー!教えてよー!」
「そもそもお前は誰なんだよ!」
「僕?僕はファジー。妖精島[クックリクス]に住む妖精だよ!」
これは明らかに夢だ。
夜勤も今日で5連勤目。
夕方16時から入ってる日が続いてる事もあり、1日の就業時間は休憩を除いて14時間を超える。
今月も月収30万円コースだ。
疲れが溜まっていてもおかしくない。
俺は気付く。
夢の中で『これは夢だ』と確信する事は滅多に無いんじゃないか。
この『ファジー』と言う妖精に付き合ってみるのも面白いかも知れない。
俺はゆっくり目を開けた。
目の前には手のひらサイズで緑色。俗にゆうエルフの様な身形をした妖精が漂っていた。
「ねー名前教えてくれないの?」
「アヤタだ。十条綾太。」
「アヤタ!いい名前だね。。それでアヤタはなんでここに来たの?」
(なんでって。そんなの知ったこっちゃない。だってこれはただの夢だからな)
「さぁな。そんなに人が来るのが珍しいのか?」
「珍しいというか、、ここは『狭間』だから」
「狭間?」
妖精のファジーは自分の周りを蝶のようにヒラヒラと飛び回る。
目線が左右上下に散らかる。
周りを意識しだした俺はその光景に絶句した。
「ちょっと待て。なんだよここ、、すげー、、」
ここが夢だと理解していても、この感動は本物だと確信できる。
虹色の花で埋め尽くされた大地。
空へと登る大きな運河は、遠くの方で天の川へ昇華する。
龍やペガサスなどの空想上の生き物たちが生態系を作り穏やかに暮らしている世界。
「これが『狭間』全ての世界が交差する唯一無二の場所」
綾太は思わず一歩前へと踏み出す。
「だめええ!」
ファジーは大声を出しながら、綾太の服の裾をギュッと掴んだ。
「『狭間』はとっても不安定な場所なんだ。迷い込んだら最後、元の世界に帰れなくなっちゃうよ!」
「へー帰れなく、、って、まじかよ!それを先に言え!」
「アヤタ見て見て。ふわふわ飛んでる白い玉みたいなのがあるでしょ。」
「さっきからふわふわしてる『たんぽぽの綿毛』みたいな奴か?」
綾太の周りには無数の『それ』が地面から上空に向かって舞い上がっている。
「これは『生命の魂』これから彼らは天界に向かって旅をするのさ。」
「な、、死者の通り道にもなってる訳か、、そいつは笑えねぇな、、俺は大丈夫だよな?」
「アヤタはちゃんと実体もあるし大丈夫!、、なはず。そっちの世界で死に近い何かがあるのかもしれないけど、、」
考えられるのは一つしかない、労働基準法とは何かと考えさせる俺のバイト量だ。
「心当たりは山ほどあるが、こんな夢を見るまでとは思わなかったよ」
「夢?アヤタは面白いなー!あっ、いけない!、、ほら綾太が来たゲートも収縮が始まってる。そろそろ帰らなきゃ!」
振り返ると、光の渦の様な物が少し後ろに浮かんでいた。最初のサイズは知らないが、今はもうバスケットボールほどの大きさしかない。
俺は必然的且つ衝動的にその渦に向かって手を伸ばす。
「アヤタ!また遊ぼうね!」
「もう来ねーよ!バイトのシフト減らすって決めたし!」
「アヤタと僕はまた会えるよ!きっと!」
光の渦に手を触れる。
次の瞬間、綾太は『狭間』から消失した。
ーPM18:00ー
スマホのアラーム音がけたたましく鳴り響く。
いつもは素早い動作で音を止めるが、なんだか頭が良く働かず、しばらくの間それを放置した。
「やけにリアルな夢だったな、、」
通勤の道すがら夢の事を思い出しては、あまりにも全てを覚えている物だから、少しばかり落ち着かない。
経験上、夢を事細かに覚えていた試しなんて無いからだ。
ーPM19:40ー
[ローサン原宿2丁目店]にはいつもよりやや早く到着した。
とりあえず事務所に入ると、エリアマネージャーの九童塔矢が店長の田島さんに説教をしている最中だった。
50代のおじさんが立ちながらぺこぺこ頭を下げ、20代の若者が椅子にどかっと座り、あーだこーだ言ってる様に毎度ながら社会の厳しさを痛感する。
「田島っちさー、何度言ったらわかるのかなー、、昼の時間帯に5分間も『から揚げちゃん』切らすとかマジないから!」
「でも切らしたのは『たった5分』だけですし、、」
九童は眼鏡を外し、ジャケットの内ポケットに忍ばせていたハンカチでレンズを磨きだした。
これは九童さんがイラついている時の癖だ。
「43.6人、、この店が昼のピーク時に5分で捌く平均人数だ。これは夜間2時から6時までの45.3人に匹敵する数だ。田島っちは夜間4時間分の販売機会をみすみす逃したんだよ。アンダスタン?」
「それとこれとは、、、」
「同じ事だよ。」
九童さんを論破するのは並大抵の事じゃない。
敵に回したら最後。確実に仕留められる。
「綾太も言ってやれよー」
「あ、はい、、とりあえずおはようございます」
「おはよう綾太君、、僕は発注でもしてくるよ、、」
田島は、すれ違いざまに綾太の肩に手を置き、哀愁を漂わせながら事務所を後にした。
「また説教ですか?ちょっと言い過ぎですよー、九童さん」
「田島っちにはあれくらい言わないと駄目なんだよ」
「そうですかねー。田島さんは仕事できると思うんですけど、、」
九童さんが下手くそにも親しみを込めて『田島っち』と呼ぶ田島光一と言う人物は元々横浜駅前店の店長で、3年連続予算達成率200パーセントを達成してしまったラーソングループでは伝説の人物だ。それを九童さんは自店舗に引き抜き店長に抜擢した。仕事ができない訳が無いし、『から揚げちゃん』を切らしたのもロスを防ぐために廃棄時間ギリギリ見極めた結果だ。
「ハァ、、、」
大きな溜息を吐く九童に驚いた。
九童は自分にとって上司である前に、『大学の先輩』だった。同じ経営学部で同じサークル、バイト先も同じ。そんな彼から溜息を聞くなんて初めての事だった。
「そんなに『から揚げちゃん』売り逃したのショックなんですか?」
「いや、昨日、、いや今朝かな。変な夢見ちゃってさ、、疲れてんのかなーって」
夢?そうだ、九童にシフトの相談をしてみよう。
夢と言うワードがスイッチとなり、不意に『狭間』の事を思い出す。
「九童さん、、俺シフト削ろうと思うんですけど、駄目ですかね?」
九童が少し驚いて、体勢を少し持ち上げる。
「なんだよ急に?」
「実は俺も変な夢を見て、、『死が近い』って啓示を受けたみたいなんです。働きすぎで」
笑いたければ笑うがいい。
夢の影響でシフトを減らす奴なんて俺も知らない。この気持ちは、あの世界を体感した自分にしかわからないだろう。
「なんだよそれ、、ハハ、」
やっぱり。そう思い九童の顔を覗き込むと、笑い声とは裏腹に顔は真剣そのものだった。
「綾太、お前まさか『狭間』行ったのか?」
「え、、!」
そこからは一瞬だった。二人の目の前には『狭間』であったのと同じ光の渦が現れ、まるで掃除機で吸い込まれるかのように引き込まれる。気付いた時には夢で見たあの場所に再び立っていた。
「これって、、、」
「さすがに理解できんぞ、、」
「フォッフォッフォッ!」
「「アハハハ」」
目の前には長い白髪に立派な白髭を蓄えた老人とエルフの様な身形の小さな妖精が二匹。一匹は見た事がある、、、『ファジー』だ!
「すまんのう、、二人が意識を共有するのがこんなに早いだなんて思わなんだ」
白髪の老人はゆっくりと間合いを詰めてくる。
二人のパーソナルエリアのギリギリで止まったかと思うと!申し訳なさそうに驚愕の一言を放った。
「お前ら殺しておいたから」
唐突に十条綾太と九童塔矢の人生は終わりを迎えたのである。
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