34歳気弱なサラリーマン、囚われの美少女お姫様始めました
第58話 ソニアとシルク(8)
「おはようございます」
全く隙のない微笑みでアンジェリカが挨拶する。
「シルク様とはほとんど初めてお話しますわね。なかなかお部屋から出ていらっしゃらないから、おうちにお戻りになったのかと思いましたわ・・・。まあ、せっかく田舎のお屋敷から中央の城にいらしたのですから、お楽しみなされたらよろしいわ。この後のお茶会にもぜひいらして。」
シルクは本能的にアンジェリカのことを”苦手なタイプかも・・・”と思った。
完璧な顔立ちも豪華すぎる金髪も常に上がっている口角も自分には縁がなさすぎる。
(現実世界にいたら、こういう人はリア充で意識高い系だろうな・・・ボクなんか相手にもされないやつ・・・)
そんなシルクの気持ちが分かったのか、ソニアが助け船を出した。
「申し訳ありません、アンジェリカ様。シルク様は昨日から体調がすぐれず、お茶会はまた後日のご参加ということで。」
「あら残念。でもソニアはいらして下さるわね?みんなあなたに憧れているのよ・・・。その辺の騎士よりずっと素敵なんですもの。」
「有りがたきお言葉・・・。では・・・少しだけ顔を出します。」
(ええっ!ボクのソニアさんがっ!)
ちょっと焦るシルク。
「あのっ、やっぱりボクも参加させてくださいっ!お茶会っ!」
アンジェリカは「もちろんいいですよ」とまた美しく微笑んだ。
お茶会は中庭のガゼボにお茶やお菓子を並べて行われる。
姫たちはそれぞれ別の地方から来ているので、各々の名物を日替わりで競うように取り寄せ、出しているのだ。
「今日はサマンサ様のお菓子ですわね。シナモンがたっぷり入って、上品なお味ですこと!」
「先日頂いたソフィア様の、レモンのタルトも絶品でしたわ。」
「コーディア様のベリーのクッキー、ぜひまた頂きたいわ」
お茶会は、まずお菓子の褒め合いから始まる。
シルクはすでに軽く眩暈がするような思いで聞いていたが、ソニアがこっそり教えてくれたあることで見方が変わった。
適当にしゃべっているように見えて、その順番や話の長さに暗黙の優劣があると言うのだ。
そう言われて注意深く観察してみると、立場が上の姫・・・例えばそれはアンジェリカ姫なのだが・・・が、一番最初に発言し、次にソフィア姫、次に・・・・といった具合に、だいたい決まっていた。
2番手のソフィア姫も若く美しい。長く伸びたまっすぐな髪は、動くたびにサラサラと音を立てるほどだった。おしとやかに見えるが知的さも兼ね備えている。
父親は先代の王をずっと支えた大臣で母親の実家は豪商、お妃に選ばれるのには十分な立場だ。
3番手は一番遠く、南から来たバーバラ姫。浅黒い肌、くっきりした目鼻立ち、ひきさまった体。父親はとにかくお金持ちで、結婚した暁には馬車10台に金を満載して王に贈ると豪語しているという。
その他の姫もまさにいずれ劣らぬ生まれと美しさだったが、上位3人を見れば勝負はついたようなものだろう。
あとは、単純に王の好みであろうが、大国の王が自分の好みだけを優先させるとも思えない。
(そっかーお妃候補かー。いやまてよ。ということは、シルク王妃はこの激戦を勝ち抜いたというわけかぁ・・・。どうやって?!すごいなぁ!ん?でもボクが今シルクさんになってるわけでしょ?てことは、うー?
んー?
・・・
・・・・・
・・・・・・・!!
ボクが何とかして、王と結婚しなきゃ未来が変わるんじゃない?!
あ・・・でも、大勢の人間が死んで、シルク王妃の息子のオルガ王子が呪われる不幸な未来がなくなるためには、結婚しない方がいいのかな・・・。
結婚しない未来・・・。
きっとアンジェリカさんが王妃でも、ちゃんとした未来があるのだろう。
ボクは、もしかしたら元の世界に帰れないかもしれない。だとしたら、このまま、ソニアさんのそばにいたい。女の子としてでもいいから・・・)
シルクがそんなことを思っていた時、お茶会にミダがやって来た。
全く隙のない微笑みでアンジェリカが挨拶する。
「シルク様とはほとんど初めてお話しますわね。なかなかお部屋から出ていらっしゃらないから、おうちにお戻りになったのかと思いましたわ・・・。まあ、せっかく田舎のお屋敷から中央の城にいらしたのですから、お楽しみなされたらよろしいわ。この後のお茶会にもぜひいらして。」
シルクは本能的にアンジェリカのことを”苦手なタイプかも・・・”と思った。
完璧な顔立ちも豪華すぎる金髪も常に上がっている口角も自分には縁がなさすぎる。
(現実世界にいたら、こういう人はリア充で意識高い系だろうな・・・ボクなんか相手にもされないやつ・・・)
そんなシルクの気持ちが分かったのか、ソニアが助け船を出した。
「申し訳ありません、アンジェリカ様。シルク様は昨日から体調がすぐれず、お茶会はまた後日のご参加ということで。」
「あら残念。でもソニアはいらして下さるわね?みんなあなたに憧れているのよ・・・。その辺の騎士よりずっと素敵なんですもの。」
「有りがたきお言葉・・・。では・・・少しだけ顔を出します。」
(ええっ!ボクのソニアさんがっ!)
ちょっと焦るシルク。
「あのっ、やっぱりボクも参加させてくださいっ!お茶会っ!」
アンジェリカは「もちろんいいですよ」とまた美しく微笑んだ。
お茶会は中庭のガゼボにお茶やお菓子を並べて行われる。
姫たちはそれぞれ別の地方から来ているので、各々の名物を日替わりで競うように取り寄せ、出しているのだ。
「今日はサマンサ様のお菓子ですわね。シナモンがたっぷり入って、上品なお味ですこと!」
「先日頂いたソフィア様の、レモンのタルトも絶品でしたわ。」
「コーディア様のベリーのクッキー、ぜひまた頂きたいわ」
お茶会は、まずお菓子の褒め合いから始まる。
シルクはすでに軽く眩暈がするような思いで聞いていたが、ソニアがこっそり教えてくれたあることで見方が変わった。
適当にしゃべっているように見えて、その順番や話の長さに暗黙の優劣があると言うのだ。
そう言われて注意深く観察してみると、立場が上の姫・・・例えばそれはアンジェリカ姫なのだが・・・が、一番最初に発言し、次にソフィア姫、次に・・・・といった具合に、だいたい決まっていた。
2番手のソフィア姫も若く美しい。長く伸びたまっすぐな髪は、動くたびにサラサラと音を立てるほどだった。おしとやかに見えるが知的さも兼ね備えている。
父親は先代の王をずっと支えた大臣で母親の実家は豪商、お妃に選ばれるのには十分な立場だ。
3番手は一番遠く、南から来たバーバラ姫。浅黒い肌、くっきりした目鼻立ち、ひきさまった体。父親はとにかくお金持ちで、結婚した暁には馬車10台に金を満載して王に贈ると豪語しているという。
その他の姫もまさにいずれ劣らぬ生まれと美しさだったが、上位3人を見れば勝負はついたようなものだろう。
あとは、単純に王の好みであろうが、大国の王が自分の好みだけを優先させるとも思えない。
(そっかーお妃候補かー。いやまてよ。ということは、シルク王妃はこの激戦を勝ち抜いたというわけかぁ・・・。どうやって?!すごいなぁ!ん?でもボクが今シルクさんになってるわけでしょ?てことは、うー?
んー?
・・・
・・・・・
・・・・・・・!!
ボクが何とかして、王と結婚しなきゃ未来が変わるんじゃない?!
あ・・・でも、大勢の人間が死んで、シルク王妃の息子のオルガ王子が呪われる不幸な未来がなくなるためには、結婚しない方がいいのかな・・・。
結婚しない未来・・・。
きっとアンジェリカさんが王妃でも、ちゃんとした未来があるのだろう。
ボクは、もしかしたら元の世界に帰れないかもしれない。だとしたら、このまま、ソニアさんのそばにいたい。女の子としてでもいいから・・・)
シルクがそんなことを思っていた時、お茶会にミダがやって来た。
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