34歳気弱なサラリーマン、囚われの美少女お姫様始めました
第51話 ソニアとシルク(1)
「両手首が必要になったのか?メンドクサイな・・・」
ソニアは、血が漏れる布袋を担ぎながらため息をついた。
ソニアが傭兵の仕事を始めてから、1年になる。
もともと恵まれた才能があったのだろう、ソニアは誰よりも強く、稼ぐ傭兵になっていた。
雇われればどこにでも参戦して、敵方の兵士を切り倒す。
ソニアは燃えるような紅い髪から”紅のソニア”と呼ばれて敵となった兵士から恐れられていた。
「前回は利き手の方の手首1つでお金がもらえたのにな。両手が必要となると、あまり人数が稼げない」
そう言ったのはソニアの傭兵仲間、ゴードン。
ゴードンは傷だらけのバカでかい体にゴリラみたいな顔、ソニアと並ぶと美女と野獣のように見える有名だった。
力は強いが気が優しい、そんな男でソニアの唯一の親友だ。
傭兵の場合、殺した人数によって報奨金が変わる。
殺した人数をどうやって報告するかというと、大昔は首を持って行かなければならなかったのだが、いくらも持てないということで、死体から利き腕を切り落として1人と数えていた。
「どうして両手首が必要になったのだ。利き腕を切り落とせば十分じゃないか。手のひらに剣を持つときにできるマメがあるから分かるだろう」
ソニアが文句を言う。稼ぎは兄弟たちの生活の糧なのだ。
「それがな、利き腕を切り落とされてもうっかり生きていた奴がいて、反対側の腕を鍛えてまた戦場に戻ってきやがったのよ。そのことをえらく自慢しやがったから、上のヤツに話が漏れて、それなら両手首が必要だなって話になったわけだ。」
ゴードンがガハハと笑う。
「お前は馬鹿力だからいいけどな、か弱い女子の私はいくらも持てないんだ。」
ソニアがそう言うと、
「か、か弱い女子!!!」
と、ゴードンは一層笑った。
殺す数は2人は五分五分だが、ゴードンは巨大なハンマーで潰してしまうことがあるので結果的にソニアの方が儲けていた。
「ああ、そうだ!切り落として2,3日日干ししたら、軽くなるんじゃないかな?」
「それじゃあ墓荒らしでもしたのかと思われちまうよ!」
2人はそんなバカ話をしながら戦いの道中を過ごしていた。
戦いが明けて、金を手にし、ソニアが家に帰ると可愛い8人の弟たちや妹たち、母親が待っている。
みんなソニアのことが大好きで、姿を見るや否や駆け寄ってきてじゃれつくのだ。
「ソニアねーちゃーん、今回はどんなお屋敷にご奉公したの?どんなお姫様がいたの?どんな珍しい物があったの?教えて教えて!!」
小さい兄弟たちの質問攻めにソニアは笑顔で答える。ソニアは家族に人殺しの傭兵をしていることを言えなかったので、毎回お金持ちのお屋敷に雇われていることにしていたのだ。
だからお屋敷中で見たり聞いたりしたという話は全て想像だった。
もっとも、戦場で知り合った傭兵の話を聞いたりしていたので、ネタには事欠かなかったが。
しかもたまに、ゴードンが木こりとしてソニアの話に合わせるものだから、兄弟の中で疑う者はなかった。
母親以外は。
「母さん、ただ今帰りました。」
ソニアが明るい部屋でベッドに横になる母親の顔を見に行く。
母親は酷くやつれてはいるが、体を起こして微笑みながらソニアを迎えた。
「お帰りなさいソニア。無事で・・・良かった・・・。」
目には涙が浮かんでいる。
ソニアが傭兵をして家族を食べさせてくれているのは気付いていた。お屋敷に短い間奉公するだけで、ソニアが持って帰るほどのお金はもらえないことを知っているからだ。
「ソニア・・・もう・・・出稼ぎに行かなくていいのよ・・・。上の子供たちは畑仕事が出来るようになったし、来年にはジョーが町で働きに出るって言ってるわ。」
ソニアは笑う。
「母さん、私なら大丈夫。お屋敷のご奉公は、こんな田舎暮らしより性に合ってるのよ。楽しく働いてお金がもらえるんだからいいことばかり。私よりも、家事を引き受けてくれているリーナとユーナの方が大変かもね。ああ、ジョーは町には出さないで。今は戦争も多くて危険だし、ジョーは長男だから母さんと兄弟と・・畑を守ってもらわなきゃ・・・。次は私、もっと稼ぐわ。」
ソニアが、亡き育ての父の恩に報いようとしているのを母親はありがたくも悲しい思いで感じていた。
ソニアは、血が漏れる布袋を担ぎながらため息をついた。
ソニアが傭兵の仕事を始めてから、1年になる。
もともと恵まれた才能があったのだろう、ソニアは誰よりも強く、稼ぐ傭兵になっていた。
雇われればどこにでも参戦して、敵方の兵士を切り倒す。
ソニアは燃えるような紅い髪から”紅のソニア”と呼ばれて敵となった兵士から恐れられていた。
「前回は利き手の方の手首1つでお金がもらえたのにな。両手が必要となると、あまり人数が稼げない」
そう言ったのはソニアの傭兵仲間、ゴードン。
ゴードンは傷だらけのバカでかい体にゴリラみたいな顔、ソニアと並ぶと美女と野獣のように見える有名だった。
力は強いが気が優しい、そんな男でソニアの唯一の親友だ。
傭兵の場合、殺した人数によって報奨金が変わる。
殺した人数をどうやって報告するかというと、大昔は首を持って行かなければならなかったのだが、いくらも持てないということで、死体から利き腕を切り落として1人と数えていた。
「どうして両手首が必要になったのだ。利き腕を切り落とせば十分じゃないか。手のひらに剣を持つときにできるマメがあるから分かるだろう」
ソニアが文句を言う。稼ぎは兄弟たちの生活の糧なのだ。
「それがな、利き腕を切り落とされてもうっかり生きていた奴がいて、反対側の腕を鍛えてまた戦場に戻ってきやがったのよ。そのことをえらく自慢しやがったから、上のヤツに話が漏れて、それなら両手首が必要だなって話になったわけだ。」
ゴードンがガハハと笑う。
「お前は馬鹿力だからいいけどな、か弱い女子の私はいくらも持てないんだ。」
ソニアがそう言うと、
「か、か弱い女子!!!」
と、ゴードンは一層笑った。
殺す数は2人は五分五分だが、ゴードンは巨大なハンマーで潰してしまうことがあるので結果的にソニアの方が儲けていた。
「ああ、そうだ!切り落として2,3日日干ししたら、軽くなるんじゃないかな?」
「それじゃあ墓荒らしでもしたのかと思われちまうよ!」
2人はそんなバカ話をしながら戦いの道中を過ごしていた。
戦いが明けて、金を手にし、ソニアが家に帰ると可愛い8人の弟たちや妹たち、母親が待っている。
みんなソニアのことが大好きで、姿を見るや否や駆け寄ってきてじゃれつくのだ。
「ソニアねーちゃーん、今回はどんなお屋敷にご奉公したの?どんなお姫様がいたの?どんな珍しい物があったの?教えて教えて!!」
小さい兄弟たちの質問攻めにソニアは笑顔で答える。ソニアは家族に人殺しの傭兵をしていることを言えなかったので、毎回お金持ちのお屋敷に雇われていることにしていたのだ。
だからお屋敷中で見たり聞いたりしたという話は全て想像だった。
もっとも、戦場で知り合った傭兵の話を聞いたりしていたので、ネタには事欠かなかったが。
しかもたまに、ゴードンが木こりとしてソニアの話に合わせるものだから、兄弟の中で疑う者はなかった。
母親以外は。
「母さん、ただ今帰りました。」
ソニアが明るい部屋でベッドに横になる母親の顔を見に行く。
母親は酷くやつれてはいるが、体を起こして微笑みながらソニアを迎えた。
「お帰りなさいソニア。無事で・・・良かった・・・。」
目には涙が浮かんでいる。
ソニアが傭兵をして家族を食べさせてくれているのは気付いていた。お屋敷に短い間奉公するだけで、ソニアが持って帰るほどのお金はもらえないことを知っているからだ。
「ソニア・・・もう・・・出稼ぎに行かなくていいのよ・・・。上の子供たちは畑仕事が出来るようになったし、来年にはジョーが町で働きに出るって言ってるわ。」
ソニアは笑う。
「母さん、私なら大丈夫。お屋敷のご奉公は、こんな田舎暮らしより性に合ってるのよ。楽しく働いてお金がもらえるんだからいいことばかり。私よりも、家事を引き受けてくれているリーナとユーナの方が大変かもね。ああ、ジョーは町には出さないで。今は戦争も多くて危険だし、ジョーは長男だから母さんと兄弟と・・畑を守ってもらわなきゃ・・・。次は私、もっと稼ぐわ。」
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