34歳気弱なサラリーマン、囚われの美少女お姫様始めました
第44話 王妃の悲しみ
「王妃様の・・・話し相手?」
意外な申し出に驚くクロちゃん。
「ここ数年、王妃が落ち込むことが多くてなぁ。もうお城の人間だと限られてくるし、君みたいな若い子と話す方が気が紛れると思うんだ。
なぜか妻と君、雰囲気似てるんだ。気が合うんじゃないかと思ってね。」
もともとクロちゃんに拒否権はないわけだが。デュラン王は丁寧に頭を下げた。
その姿に感動するクロちゃん。
(こんな人が上司だったら働き甲斐があるなぁ)とか思ってしまう。
「わかりました、ボクにできることでしたら・・・」
「ほんとうか?!ありがとう!!」
王の顔がパッと明るくなる。本当に良い人だった。
「デュラン様、常にわたくしがこの者の横に付いておりますので、ご心配なさらぬよう・・・。」
美しいソニアの一言もクロちゃんには嬉しかった。
(つ、常にソニアさんがボクのそばにいてくれるんだ・・・!)胸が高鳴る。
「心配はしてないよ。ブルーライオンの子が懐いているってことは、悪い人間じゃない。それに私は人を見る目があるんだ、そうだろ?」
王はソニアに向かってウインクした。ソニアは苦笑いする。
「決まりだな。では、明日から頼んだよクロ!君たちの世話はソニアに任せよう。」
王が部屋から出ていって、ロックがむしゃむしゃ果物を食べているのを横目で見ながらソニアはクロちゃんに言った。
「王妃様のお話し相手になると言うなら、知っておかねばならぬだろうから話しておく。
王妃様の悲しみの訳だ。」
(知ってるかも・・・)
クロちゃんは内心そう思った。
「城内でもごく一部の者しか知らないのだが、シルク王妃様は二十日ほど前に、4人目のお子を死産された。まだ一人もお子がおらず、王も王妃も心から待ちわびているのに、だ。
これまでは気丈に振る舞っておられたが、4回目となる今回は、さすがにひどく心も体も参っておられるのだ。
王は、ご自身も悲しんでおられるのだが王妃をご心配なさってな。あらゆる手を尽くされているが・・・。」
「万策尽きたというわけか」
ロックが言った。ソニアは軽くうなづく。
「つまりお前たちは、そんな王妃様のために少しでも慰みになればと思って生かされているのだ。
明日、王妃様とお会いしたら失礼のなきよう振る舞え。少しでも王妃様に危害を加えるそぶりをしたら、その場で叩き切る!」
ソニアは、必要な物は召使に用意させると言い残して、部屋から颯爽と出ていった。
「はぁぁぁぁ~!!かっこいいなソニアさん!」
「お前、あいつが言ってた内容は聞いてたのか?隙あらばオレたちをいつでも殺すって言ってたんだぞ!」
「あんな人に殺されるなら本望です・・・」
「馬鹿かお前は!」
ロックはソニアを見る目がハートになりっぱなしのクロちゃんに心底呆れていた。
「お前と同じ女じゃねーか!」
(いやいやいや)
と、中身(34歳気弱なおっちゃんサラリーマン)の方が思う。
現実世界では、想像するたびにいつも恐れていたことがある。
それは、”自分の死に方”だった。
このまま独身で、母や父に先立たれ、姉にも見捨てられ、1人寂しく年老いて安アパートで孤独死する未来は、ひ孫に囲まれて惜しまれながら安らかに死ぬ未来よりもはるかに現実味があった。
考えただけでもゾッとする・・・で、どんな死に方が理想かな?と思った時、ぽっくりと逝く以外なら、ゲームに出てくるような美しい女剣士に一刀両断されて死ぬのがいいかなと。
その理想の女剣士がまさしくソニアなのだ。
まあ、てなことをロックに言えるはずもなく、1人二ヤつくクロちゃんだったが、ふと思い出した。
「そういえば、ミダは、王妃様が5人目の子供を妊娠した時にあの事件が起こったって言ってたんだよね・・・。オルガ王子が呪われる原因となった54人と5匹の虐殺・・・。」
「そう、止めるなら今なんだ!」
意外な申し出に驚くクロちゃん。
「ここ数年、王妃が落ち込むことが多くてなぁ。もうお城の人間だと限られてくるし、君みたいな若い子と話す方が気が紛れると思うんだ。
なぜか妻と君、雰囲気似てるんだ。気が合うんじゃないかと思ってね。」
もともとクロちゃんに拒否権はないわけだが。デュラン王は丁寧に頭を下げた。
その姿に感動するクロちゃん。
(こんな人が上司だったら働き甲斐があるなぁ)とか思ってしまう。
「わかりました、ボクにできることでしたら・・・」
「ほんとうか?!ありがとう!!」
王の顔がパッと明るくなる。本当に良い人だった。
「デュラン様、常にわたくしがこの者の横に付いておりますので、ご心配なさらぬよう・・・。」
美しいソニアの一言もクロちゃんには嬉しかった。
(つ、常にソニアさんがボクのそばにいてくれるんだ・・・!)胸が高鳴る。
「心配はしてないよ。ブルーライオンの子が懐いているってことは、悪い人間じゃない。それに私は人を見る目があるんだ、そうだろ?」
王はソニアに向かってウインクした。ソニアは苦笑いする。
「決まりだな。では、明日から頼んだよクロ!君たちの世話はソニアに任せよう。」
王が部屋から出ていって、ロックがむしゃむしゃ果物を食べているのを横目で見ながらソニアはクロちゃんに言った。
「王妃様のお話し相手になると言うなら、知っておかねばならぬだろうから話しておく。
王妃様の悲しみの訳だ。」
(知ってるかも・・・)
クロちゃんは内心そう思った。
「城内でもごく一部の者しか知らないのだが、シルク王妃様は二十日ほど前に、4人目のお子を死産された。まだ一人もお子がおらず、王も王妃も心から待ちわびているのに、だ。
これまでは気丈に振る舞っておられたが、4回目となる今回は、さすがにひどく心も体も参っておられるのだ。
王は、ご自身も悲しんでおられるのだが王妃をご心配なさってな。あらゆる手を尽くされているが・・・。」
「万策尽きたというわけか」
ロックが言った。ソニアは軽くうなづく。
「つまりお前たちは、そんな王妃様のために少しでも慰みになればと思って生かされているのだ。
明日、王妃様とお会いしたら失礼のなきよう振る舞え。少しでも王妃様に危害を加えるそぶりをしたら、その場で叩き切る!」
ソニアは、必要な物は召使に用意させると言い残して、部屋から颯爽と出ていった。
「はぁぁぁぁ~!!かっこいいなソニアさん!」
「お前、あいつが言ってた内容は聞いてたのか?隙あらばオレたちをいつでも殺すって言ってたんだぞ!」
「あんな人に殺されるなら本望です・・・」
「馬鹿かお前は!」
ロックはソニアを見る目がハートになりっぱなしのクロちゃんに心底呆れていた。
「お前と同じ女じゃねーか!」
(いやいやいや)
と、中身(34歳気弱なおっちゃんサラリーマン)の方が思う。
現実世界では、想像するたびにいつも恐れていたことがある。
それは、”自分の死に方”だった。
このまま独身で、母や父に先立たれ、姉にも見捨てられ、1人寂しく年老いて安アパートで孤独死する未来は、ひ孫に囲まれて惜しまれながら安らかに死ぬ未来よりもはるかに現実味があった。
考えただけでもゾッとする・・・で、どんな死に方が理想かな?と思った時、ぽっくりと逝く以外なら、ゲームに出てくるような美しい女剣士に一刀両断されて死ぬのがいいかなと。
その理想の女剣士がまさしくソニアなのだ。
まあ、てなことをロックに言えるはずもなく、1人二ヤつくクロちゃんだったが、ふと思い出した。
「そういえば、ミダは、王妃様が5人目の子供を妊娠した時にあの事件が起こったって言ってたんだよね・・・。オルガ王子が呪われる原因となった54人と5匹の虐殺・・・。」
「そう、止めるなら今なんだ!」
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