34歳気弱なサラリーマン、囚われの美少女お姫様始めました
第38話 黒の塔
クロちゃんがまだ正十で、34歳で、サラリーマンだったころ、2回ほど立て続けにお見合いの話が合った。
まあ、結論としてどちらも向こうから断られたのだが、正十は凄くホッとした。
34歳にもなってと笑われそうだから誰にも言えず、ただ振られましたと笑っていたが、
ホントのところ自分が”父親”になれる気がしなかったのだ。
お見合い相手は決まって、「子供大好き、早く欲しい」という。
まあ無理もない、正十自身も34歳だし、どちらのお見合い相手もアラサーだったから作るなら早い方がいい。
しかし正十はその、「子供が欲しい」という感覚が分からなかった。子供は嫌いではないのだけど。
他人事として不動産会社の先輩、リーダー斎藤に話すと、斎藤は、
「そりゃお前、好きな女の子供じゃないからじゃねーの?」
と言って、妙に納得したものだった。
(そうか、すごく好きな人が出来たら、子供が欲しくなるもんなんだろうなぁ)と。
その時はボクはお父さん・・・
お父さん・・・
このままではお母さん・・・・
「わあっ!!」
クロちゃんは叫びながら飛び起きた。
「へ、変な夢見ちゃった・・・え?ここどこだろ・・・?」
自分はベッドに寝かされていて、横のイスにはロックが腕を組んで座ったまま寝ている。
部屋の中に1本、大きなろうそくが火をともしたままにしてあったので、真夜中みたいだがかろうじて辺りの様子が見えた。
「ああ・・・ロックさん、ボクに付いていてくれたんだ。」
床を見るとブルーライオンのモニカも寝ていた。
「モニカ、無事だっただ・・・。良かった。」
クロちゃんは1人と1匹を起こさないようにそーっと立ち上がる。
見回すと、この部屋には鉄格子付きの窓があって、どうしても外が見たかったからだ。
「ん?」
そこには広がる真っ暗闇
「ん?」
もう一度鉄格子から顔を出せるだけ出して見てみるが、やっぱり”暗い闇”しか見えない。
なんというか、つかみどころのない不思議な黒い空間なのだ。
「んー?おかしいなぁ。いくら真夜中でも月とか星とか、雲の欠片ぐらい見えるだろうに・・・」
クロちゃんが文字通り首をかしげていると、
「何も見えないよ。ここは”黒の塔”だからね。」
と後ろから声した。
「げっ、ミダさん・・・」
そこには、ろうそくの近くに立つ茶髪ポニーテールのミダがいた。
ミダが1歩近づくのに合わせて、自然と体が1歩下がるクロちゃん。
よくよく思い出すとこの男に犯されかけたのだ。
「・・・ああ、警戒しなくても大丈夫だよ。神聖な”黒の塔”では性行為なんかできないからね。
ここは神が発つ場所であり、悪魔が戻る場所と言われてるんだから」
「なにそれ・・・」
嫌な予感しかしない場所だったが、とりあえずここではミダに子作りで襲われないんだなと解釈してホッとするクロちゃん。
「君、まさか忘れてないよね?君は王子を助けると皆の前で約束したんだよ。もし出来なければ、君の命だけでなくブルーライオンたちの命もないんだよ。」
「うう・・・そんなぁ・・・」
「そもそも、ブルーライオンたちの数が減ってしまったのは、その命に不治の病を治す力があると言われているからなんだ。信じられないほどの高値で売れるから乱獲されて、絶滅寸前になってしまった。
残った5匹も、コナンの国の王子のためなら殺されてしまうだろう。
とくに、妊娠しているメスライオンは最も効力があるとされているんだ。」
「モニカ・・・」
クロちゃんは改めてその責任の重さに気が付いた。
まあ、結論としてどちらも向こうから断られたのだが、正十は凄くホッとした。
34歳にもなってと笑われそうだから誰にも言えず、ただ振られましたと笑っていたが、
ホントのところ自分が”父親”になれる気がしなかったのだ。
お見合い相手は決まって、「子供大好き、早く欲しい」という。
まあ無理もない、正十自身も34歳だし、どちらのお見合い相手もアラサーだったから作るなら早い方がいい。
しかし正十はその、「子供が欲しい」という感覚が分からなかった。子供は嫌いではないのだけど。
他人事として不動産会社の先輩、リーダー斎藤に話すと、斎藤は、
「そりゃお前、好きな女の子供じゃないからじゃねーの?」
と言って、妙に納得したものだった。
(そうか、すごく好きな人が出来たら、子供が欲しくなるもんなんだろうなぁ)と。
その時はボクはお父さん・・・
お父さん・・・
このままではお母さん・・・・
「わあっ!!」
クロちゃんは叫びながら飛び起きた。
「へ、変な夢見ちゃった・・・え?ここどこだろ・・・?」
自分はベッドに寝かされていて、横のイスにはロックが腕を組んで座ったまま寝ている。
部屋の中に1本、大きなろうそくが火をともしたままにしてあったので、真夜中みたいだがかろうじて辺りの様子が見えた。
「ああ・・・ロックさん、ボクに付いていてくれたんだ。」
床を見るとブルーライオンのモニカも寝ていた。
「モニカ、無事だっただ・・・。良かった。」
クロちゃんは1人と1匹を起こさないようにそーっと立ち上がる。
見回すと、この部屋には鉄格子付きの窓があって、どうしても外が見たかったからだ。
「ん?」
そこには広がる真っ暗闇
「ん?」
もう一度鉄格子から顔を出せるだけ出して見てみるが、やっぱり”暗い闇”しか見えない。
なんというか、つかみどころのない不思議な黒い空間なのだ。
「んー?おかしいなぁ。いくら真夜中でも月とか星とか、雲の欠片ぐらい見えるだろうに・・・」
クロちゃんが文字通り首をかしげていると、
「何も見えないよ。ここは”黒の塔”だからね。」
と後ろから声した。
「げっ、ミダさん・・・」
そこには、ろうそくの近くに立つ茶髪ポニーテールのミダがいた。
ミダが1歩近づくのに合わせて、自然と体が1歩下がるクロちゃん。
よくよく思い出すとこの男に犯されかけたのだ。
「・・・ああ、警戒しなくても大丈夫だよ。神聖な”黒の塔”では性行為なんかできないからね。
ここは神が発つ場所であり、悪魔が戻る場所と言われてるんだから」
「なにそれ・・・」
嫌な予感しかしない場所だったが、とりあえずここではミダに子作りで襲われないんだなと解釈してホッとするクロちゃん。
「君、まさか忘れてないよね?君は王子を助けると皆の前で約束したんだよ。もし出来なければ、君の命だけでなくブルーライオンたちの命もないんだよ。」
「うう・・・そんなぁ・・・」
「そもそも、ブルーライオンたちの数が減ってしまったのは、その命に不治の病を治す力があると言われているからなんだ。信じられないほどの高値で売れるから乱獲されて、絶滅寸前になってしまった。
残った5匹も、コナンの国の王子のためなら殺されてしまうだろう。
とくに、妊娠しているメスライオンは最も効力があるとされているんだ。」
「モニカ・・・」
クロちゃんは改めてその責任の重さに気が付いた。
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