34歳気弱なサラリーマン、囚われの美少女お姫様始めました
第13話 カーラの谷
コナンの街までの旅路。
天気は良かったが、馬車は思ったより揺れてクロちゃんはゲンナリしていた。
馬車の横で馬にまたがるアレンを少し羨ましく思ったが、馬に乗ったところでやはり揺れるだろうとも思う。(そもそも乗れないし)
1日目は何事もなく過ぎた。
アレンは、この調子なら、もしかしたら2日目の明日の夜にはコナンに着けるかもしれないと言ってクロちゃんを喜ばせた。
2日目。
この日は大きな谷を抜ける道のりだった。
大地が割れたような崖が、馬車1台分の幅の道の左右にそびえている。
ヒュウー
晴天なのに風がそこだけ強く吹いていた。
時を遡り、昨夜。
コナンの王子、知の暴君サバードは、予言の巫男ミダと向き合っていた。
「見えました。
黒髪の少女は、明日、カーラの谷を通るでしょう。しかし、このままでは、この少女は他の誰かに奪われ惨殺されてしまいます。
血の海の中で無残な姿の少女が見えるのです。
この少女は、あなたの前に来るまで生かしておかないと意味がない。」
「なんということだ…」
「急ぎ、向かってください。運命はまだ変えることが出来ます」
その次の瞬間には、サバード王子は漆黒の馬にまたがり森を駆け抜けていた。
人目をひく銀の長髪、黒いマントが馬上でなびく。
灰色の瞳はただまっすぐ前だけを見据えている。
(黒髪の少女を…喰らう…!)
知のサバードでさえ、その意味は分からなかったが、会えばわかるであろうことを確信していた。
彼は全身で感じていた。
運命の歯車が音を立てて動き始めていることを。
カーラの谷
アレンの馬車を先頭にして、クロちゃんの乗った馬車はゆっくりと谷の道を進む。
時折、崖の上から小石がコロンと落ちて来る音が聞こえた。
(早くこの谷の道を抜けないかな…)
鈍いクロちゃんも、何となく嫌な予感がしていた。
それはアレンも同じらしく、始終辺りを警戒している。
コロン
小石が馬車に当たった
コロン、コロン
また当たった。
コロン、コロン…ゴッゴッ
音が激しくなってきた。
不安になったクロちゃんは、馬車の窓から顔を出す。
「アレンさん、大丈夫ですか…」
アレンは崖の上から目を離さずに言った。
「クロちゃん、馬車を出て…すぐに!そして私の馬の後ろに乗るんだ!」
クロちゃんは驚きながらも、急いで馬車を降りた。石つぶてが頭に当たる。
馬に乗ろうとアレンに手を伸ばそうとしたその瞬間
バサバサッ
大きな羽の羽ばたく音がしたかと思うと、クロちゃんは宙に浮かんでいた。
それは、大きな大きな
鷹だった。
クロちゃんの足元がどんどん字面から遠ざかる。
「うわぁぁぁ〜」
「クロちゃん!」
アレンの顔も小さくなっていく。
クロちゃんを掴んだ大鷲は狭い谷の間を、右に左に体を揺らしながら風を捉えて大きく上昇していった。
天気は良かったが、馬車は思ったより揺れてクロちゃんはゲンナリしていた。
馬車の横で馬にまたがるアレンを少し羨ましく思ったが、馬に乗ったところでやはり揺れるだろうとも思う。(そもそも乗れないし)
1日目は何事もなく過ぎた。
アレンは、この調子なら、もしかしたら2日目の明日の夜にはコナンに着けるかもしれないと言ってクロちゃんを喜ばせた。
2日目。
この日は大きな谷を抜ける道のりだった。
大地が割れたような崖が、馬車1台分の幅の道の左右にそびえている。
ヒュウー
晴天なのに風がそこだけ強く吹いていた。
時を遡り、昨夜。
コナンの王子、知の暴君サバードは、予言の巫男ミダと向き合っていた。
「見えました。
黒髪の少女は、明日、カーラの谷を通るでしょう。しかし、このままでは、この少女は他の誰かに奪われ惨殺されてしまいます。
血の海の中で無残な姿の少女が見えるのです。
この少女は、あなたの前に来るまで生かしておかないと意味がない。」
「なんということだ…」
「急ぎ、向かってください。運命はまだ変えることが出来ます」
その次の瞬間には、サバード王子は漆黒の馬にまたがり森を駆け抜けていた。
人目をひく銀の長髪、黒いマントが馬上でなびく。
灰色の瞳はただまっすぐ前だけを見据えている。
(黒髪の少女を…喰らう…!)
知のサバードでさえ、その意味は分からなかったが、会えばわかるであろうことを確信していた。
彼は全身で感じていた。
運命の歯車が音を立てて動き始めていることを。
カーラの谷
アレンの馬車を先頭にして、クロちゃんの乗った馬車はゆっくりと谷の道を進む。
時折、崖の上から小石がコロンと落ちて来る音が聞こえた。
(早くこの谷の道を抜けないかな…)
鈍いクロちゃんも、何となく嫌な予感がしていた。
それはアレンも同じらしく、始終辺りを警戒している。
コロン
小石が馬車に当たった
コロン、コロン
また当たった。
コロン、コロン…ゴッゴッ
音が激しくなってきた。
不安になったクロちゃんは、馬車の窓から顔を出す。
「アレンさん、大丈夫ですか…」
アレンは崖の上から目を離さずに言った。
「クロちゃん、馬車を出て…すぐに!そして私の馬の後ろに乗るんだ!」
クロちゃんは驚きながらも、急いで馬車を降りた。石つぶてが頭に当たる。
馬に乗ろうとアレンに手を伸ばそうとしたその瞬間
バサバサッ
大きな羽の羽ばたく音がしたかと思うと、クロちゃんは宙に浮かんでいた。
それは、大きな大きな
鷹だった。
クロちゃんの足元がどんどん字面から遠ざかる。
「うわぁぁぁ〜」
「クロちゃん!」
アレンの顔も小さくなっていく。
クロちゃんを掴んだ大鷲は狭い谷の間を、右に左に体を揺らしながら風を捉えて大きく上昇していった。
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