34歳気弱なサラリーマン、囚われの美少女お姫様始めました

丸めがね

第4話 目覚めると女の子

正十が目を覚ますと、小さな顔が覗き込んでいた。

3歳ぐらいの女の子だろうか?赤毛でクルクルの可愛い髪の毛をぴょこぴょこさせている。

夢か現実か分からずにボーッとしていると、もう1つ小さな顔が覗き、また増え、最後には男女2つづつの4つになった。


「起きたねー。大丈夫?」
その中で10歳ぐらいの、1番大きな女の子が話しかけてきた。

何か返事をしようと口を開きかけた時、1番小さな男の子が言った。

「おねーちゃんがおきたよぉー」

「おねえちゃん?」

正十はふと自分の胸元に目をやる。大きな2つの双丘が見えた。

「え?」

正十の動きに合わせてユサユサと揺れるそれらは、間違いなく乳房だ。

「えええ?えー?」

自分が置かれている状況が全く分からないくて、徐々にパニクってきた。

(てか、ここはどこ?この子供達はだれ?!どーして胸がついてるんだーー!?)


話しかけてくる子供達にとりあえず愛想笑いしつつ(この辺がジャパニーズサラリーマン)、記憶を辿ってみた。

(ボクはねーちゃんが持ってきてくれた物件を、山奥まで見に行ったんだ…。大きな別荘があって、中に入ると…黒い塊があって…それがボクを…)

どうしても記憶はここで止まっている。

不思議そうに正十を見つめる子供達に聞いてみた。

「あの…ここはどこ?君たちは…だれ?」

「あのねあのねあのねー!」

4人の子供達が一斉に喋り始めたので訳がわからない。

「ハイハイ、あんまりうるさくしないよ!この子困ってるじゃん。」

ハッキが部屋に入ってきた。
ハッキの顔は、起きている正十を見てパァっと明るくなった。

「ガガ!ガガおいでよ!やっぱりアンタ、逆立ちして大バケツを持たなきゃいけないよ!」


呼ばれたガガも部屋に入ってくる。

彼の目には、腰まである豊かな黒髪で色白で巨乳の美少女が映っていた。


ガガは、半分あらわになっている正十の乳房を見て顔を赤らめた。


「君はだれ?」

彼がそう聞こうとした時、泣きそうな声で黒髪の女の子は言った。

「あの、ボクは誰ですか?」

正確には、自分は誰か、は分かっている。
平凡で気の弱い、34歳サラリーマンの川合正十だ。

「もしかして、記憶がないの?」
ガガが気の毒そうに尋ねた。

記憶はあるのだ。さっきまで仕事していた記憶が。

「頭でも打ってたのかもね。アンタはね、ウチの近くの草っ原で倒れてたの。見たところケガはないみたいだったんだけど。」

木のコップに水をいれて、正十に差し出しながらハッキが言った。

正十は、水を飲みながら心の中で考えをまとめてみる。

(えーとつまり、ボクは仕事中に気を失って、変な所に来てしまったんだ。理由は分からないけど、
別荘で見た黒い物が関係あるのかもしれない。
で、何故か女になっている、と。)


「あの…ボク、女ですよね…?」

「驚いた!記憶喪失って、性別まで忘れるもんなの?どっからどうみても女の子だよ!」

「女…の子?何歳くらい?」

「性別を忘れるんなら、そりゃ歳だって忘れるよねぇ!んー、どうかなぁ?
胸は立派だけど、顔立ちはガガぐらいに見えるよ。13歳か14歳ぐらい?」

「14歳…?!」

だいぶん若くなっているらしい。
(34歳のおじさんが14歳の女の子になるなんて店内無理だよ無理無理…)

正十は木のコップに残っていた水を飲み干した。

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