神様育てませんか?

クルーソ

15話 テンプレートの良さってあるよね

「お世話になりました」
「お大事にして下さいねー」

1日寝て体調もすっかり回復した俺は、晴れて退院となった。
色々な人に迷惑を掛けてしまったな、、、
これからは流れに身を任せた行動は控える事にしよう。

「じゃあまたお見舞いにくるね」
「はいよ。ミユカちゃん達によろしくな」

ばぁちゃんはもう少しの間入院するみたいだ。
まぁギックリ腰は癖になったら大変らしいからな。

「見舞いに来るときはくれぐれもミユカちゃんを連れて来るんじゃぞ。くれぐれもじゃ」
「そんなに念入りに言われると孫としてのプライドが傷つくんだけど、、、」
「ミユカちゃんを連れてこないお前なんて、レモンをかけてない唐揚げくらい価値がないわ」
「悪口にしても偏見がすぎるよ、、、かけないほうがいい人もたくさんいるから」
「わしは特に周りに確認せずにかけるタイプじゃ」
「勇者だね、ばぁちゃん」

争いが起きないことを願うばかりだ、、、
そんな過激派のばぁちゃんに別れを告げ、おれは家路についた。
ミユカとへメットさんは、見舞いには来てくれたけど迎えには来てくれなかったな、、、
そんな贅沢なことを思いながら、俺は玄関のドアを開けた。

「ただいまー」

、、、、、

あれ?誰もいないのかな。
まだ寝てるのか?でももう昼過ぎだし、少なくともへメットさんは起きてるはずだけどな。
不思議に思いながら居間のドアを開けると、

パンッ!パパンッ!
突然のクラッカーの音と共に、

「退院おめでとー!」

そんな言葉で3人が出迎えてくれた。
いきなりのことに呆然としている俺にみんなが声をかけていく、

「あははー!びっくりしたかー?仰天かー?」
「あらあら~。これは大成功ってやつでしょうか~」
「べ、別にあんたのためのサプライズじゃないけど、まぁいい顔してるんじゃない?」

サプライズを受けた経験がないため、初めは大したリアクションもできなかったが、わざわざ俺のために考えて実行してくれたことにじわじわと嬉しさが込み上げてきた。

「び、びっくりしたよー!誰もいないのかと思って完全に油断してましたー!なぁんだ、そうゆうことかー!」

下手だな俺のリアクション!
慣れてない感じがバリバリだったが、サプライズ成功と喜んでいるみんなの顔を見て取り敢えずは安堵した。

「でも一日二日入院しただけだし、ここまでしてもらって逆に申し訳ないというか、、、」
「そんなことはありませんよ~。それが1日だろうが親しい方の不慮には心配するものです~。それに大きいも小さいもないのですよ~。そして幸福を祝うこともまた、大げさなどないのです~」
「そんな、、ありがとうございます。へメットさん」
「そうだぞー。神様の祝福は素直に受け取るものだよ!まぁ今回はわたしの責任も大きいしなー。おそよ3割増しの祝福だぞ!」
「およそってなんだよ、、まぁありがとな。ミユカ」
「ふん、別にあんたが死のうが生きようが全然興味ないけど!で、でもまぁ、、、あんたがいなきゃ張り合いがないってゆうか、、、も、もう心配させないでよね!」
「ごめんな、これからは気を付け、、、って誰!?」

大分つっこみが遅れたけど誰!?この人!!
ツンデレのテンプレみたいな言動してるけど!後遺症なのか?後遺症による俺だけに見える幻覚なのか!?

「あ、この方は今回のサプライズに関してアドバイスを頂いた~。その~、ツインテールの方です~」
「名前もわからない人にアドバイスをもらったんですか、、、」

幻覚じゃなくて少し安心したけど、よく知らない人を家にあげるのは無警戒すぎるだろ、、、

「でも今回色々と教えていただいて、実際にサプライズにもご協力頂いたんですよ~。少なくとも悪い人ではないかと~」
「ま、まぁそうなんでしょうけど」

俺はツインテールさん(仮)に向き直ると、

「あの、色々付き合わせてしまったみたいですいません」
「べ、別に私のしたいことをやっただけよ!付き合ったわけじゃないわ!」
「いや、でも、、わ!っとと!!」

俺は躓いて転びそうになりとっさに手を伸ばすと、むにっとやわらかいものを掴んだ。
ん?この感触は、、、?
ゆっくり顔を上げると、想像通り俺の手がツインテールさんの胸を鷲掴みにしていた。

「わー!こめんなさい!ごめんなさい!!」

俺がとっさに謝ると呆然としていたツインテールさんの顔がみるみる赤くなり、、、

「な、な、なぁ、、」
「な?」
「なにすんのよバカーー!!」
「ふぉげえぇぇーー!!」

ツインテールさんのコブシが俺の顔面を打ち抜いた。そしてそのまま外へと飛び出して行ってしまった。
最後までテンプレートな人だなと思いながら、俺は意識を失うのだった。

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