初めての恋
解き明かされる過去51
「奈緒! みんなに説明してあげてくれ」「え、なにを?」「このままじゃ、僕らお互いの体にあるホクロの位置まで知る関係だって思われちゃうぞ」
そこまで聞いて奈緒がやっと自分の犯した罪に気が付き顔面から火を噴きそうなくらい赤面した。そして、下手くそな言い訳をした。
「あ、あたしたちはそんな恋人がするような、甘い夜とか、過ごしたとかそんなじゃなくて……、確かにみやびの裸は見飽きてるし、この間も見たばかりだし……細いのに締まってる腰回りとか好きだけど……そんなことはしてないです……」
男子一同みな中腰になったのは言うまでもない。すべからくみな、変な妄想をしてしまった。奈緒のこういうところが僕は大好きなんだと再認識したのは、内緒である。
「ふぉふぉふぉ、冗談はさておきじゃ。本題に戻ろう」「はるか~」「分かってるよ、分かってる私は奈緒の味方だから」「す、すごいですこれが奈緒さんの魅力ですか」
校長の意地悪にまんまとはまりその魅力を惜しげもなく披露してしまった奈緒が、春香の胸にすがりつく。それに春香は我が子をあやすかのように頭を撫でて答えるのである。隣の優香さんが何に納得したのか分からないが、私も見習おう的なことを呟いたのを聞き逃さなかった。
「はっきり言うと、この写真は洒落にならんし、本人の体がこのありさまじゃ言い訳のしようがないの。で、わしは向こうからの要求を飲もうと思うのじゃが」
写真と一緒に封筒に同封されていた紙にはこう書かれていた。
①選手権を辞退することを公表 ②真田拓哉が退部した理由の真意 ③校内暴力の真相究明とその結果を道明学園に報告
右の項目を我が学園が全て指示通りに行えば件の写真は消去するとのことだ。
「いやでも、これってどうみても脅しですよね? いいんですかこんなこと教育機関がしても?」「あのクソ爺とは犬猿の仲じゃからの。指示通りにしないと本当にメディアに公表しかねない」
確かに、もしこの条件が飲めないのであればこちらから問題を明るみにすると記されている。どちらにしろ、絶体絶命なのである。
「すみませんでした!」
突然土下座をしたのは現役サッカー部である。ことの重大さがようやく目に見える物で示されて、血の気が引くどころか体内からすべて流れ出てしまったような顔色をする。
「若気の至りじゃよこんなの。大人が首を突っ込むことではない。あの、くそ爺が卑怯なことをするからじゃ。孫を見え透いたスパイ活動に使ってまで、そこまでして勝ちたいのじゃな」「知ってたんですか? 道明学園の関係者だって?」「そりゃの、目がそっくりじゃった」「じゃあ、どうしてマネージャーにしたんですか? こうなるって分かってたんじゃないですか?」
飄々とする校長先生に思わず部外者である僕が熱くなってしまう。
「いつかは解決しなくてはいけない問題じゃよ。それに、この試練を乗り越えられんようじゃ選手権で優勝するなんて無理じゃろ。拓哉君、寺嶋君、君たちはどうしたい?」「お、俺は選手権を辞退なんてしてもらいたくないし、俺の退部理由も公表してほしくないです! この写真のことはどうしたらいいかわかりませんけど、俺がもう一度ピッチに立てばこのケガのことはなかったことになるはずです」「そうじゃな。でも、結局この写真のことをどう説明する? 土曜日に雅君の身ぐるみはがされたら言い訳のしようもないぞ。きっとこちらが否定することは想定済みじゃろ」「痣がなければ、僕が自分からキーパーの代わりを務めてたって言い張ればなんとかなりそうですね。顔が一番やばいですけど。奈緒は何か考えある?」「てかさ、みやびはもう許したわけそこの四人を?」
流れが自然とサッカー部の問題を解決する方向に進む中、奈緒がとてもいい意見を発した。四人がぎょっとしたような顔したので思わず吹き出しそうになったが飲み込む。平然とした表情をして返答することにした。
そこまで聞いて奈緒がやっと自分の犯した罪に気が付き顔面から火を噴きそうなくらい赤面した。そして、下手くそな言い訳をした。
「あ、あたしたちはそんな恋人がするような、甘い夜とか、過ごしたとかそんなじゃなくて……、確かにみやびの裸は見飽きてるし、この間も見たばかりだし……細いのに締まってる腰回りとか好きだけど……そんなことはしてないです……」
男子一同みな中腰になったのは言うまでもない。すべからくみな、変な妄想をしてしまった。奈緒のこういうところが僕は大好きなんだと再認識したのは、内緒である。
「ふぉふぉふぉ、冗談はさておきじゃ。本題に戻ろう」「はるか~」「分かってるよ、分かってる私は奈緒の味方だから」「す、すごいですこれが奈緒さんの魅力ですか」
校長の意地悪にまんまとはまりその魅力を惜しげもなく披露してしまった奈緒が、春香の胸にすがりつく。それに春香は我が子をあやすかのように頭を撫でて答えるのである。隣の優香さんが何に納得したのか分からないが、私も見習おう的なことを呟いたのを聞き逃さなかった。
「はっきり言うと、この写真は洒落にならんし、本人の体がこのありさまじゃ言い訳のしようがないの。で、わしは向こうからの要求を飲もうと思うのじゃが」
写真と一緒に封筒に同封されていた紙にはこう書かれていた。
①選手権を辞退することを公表 ②真田拓哉が退部した理由の真意 ③校内暴力の真相究明とその結果を道明学園に報告
右の項目を我が学園が全て指示通りに行えば件の写真は消去するとのことだ。
「いやでも、これってどうみても脅しですよね? いいんですかこんなこと教育機関がしても?」「あのクソ爺とは犬猿の仲じゃからの。指示通りにしないと本当にメディアに公表しかねない」
確かに、もしこの条件が飲めないのであればこちらから問題を明るみにすると記されている。どちらにしろ、絶体絶命なのである。
「すみませんでした!」
突然土下座をしたのは現役サッカー部である。ことの重大さがようやく目に見える物で示されて、血の気が引くどころか体内からすべて流れ出てしまったような顔色をする。
「若気の至りじゃよこんなの。大人が首を突っ込むことではない。あの、くそ爺が卑怯なことをするからじゃ。孫を見え透いたスパイ活動に使ってまで、そこまでして勝ちたいのじゃな」「知ってたんですか? 道明学園の関係者だって?」「そりゃの、目がそっくりじゃった」「じゃあ、どうしてマネージャーにしたんですか? こうなるって分かってたんじゃないですか?」
飄々とする校長先生に思わず部外者である僕が熱くなってしまう。
「いつかは解決しなくてはいけない問題じゃよ。それに、この試練を乗り越えられんようじゃ選手権で優勝するなんて無理じゃろ。拓哉君、寺嶋君、君たちはどうしたい?」「お、俺は選手権を辞退なんてしてもらいたくないし、俺の退部理由も公表してほしくないです! この写真のことはどうしたらいいかわかりませんけど、俺がもう一度ピッチに立てばこのケガのことはなかったことになるはずです」「そうじゃな。でも、結局この写真のことをどう説明する? 土曜日に雅君の身ぐるみはがされたら言い訳のしようもないぞ。きっとこちらが否定することは想定済みじゃろ」「痣がなければ、僕が自分からキーパーの代わりを務めてたって言い張ればなんとかなりそうですね。顔が一番やばいですけど。奈緒は何か考えある?」「てかさ、みやびはもう許したわけそこの四人を?」
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