姫騎士とペットなオレ

エルトベーレ

最終話 異世界での暮らし

「レイミィ、カゴしっかり持っててよ~?」
「はい、グレーテ。ちゃんと持ってますよ~」
木に登ったグレーテは、赤く熟した果実を採集しては、木の下で待つレイミィのカゴに落としていく。


正景たちはエッフェンベルク領の一部の森を、お義父様からいただき、自給自足の生活を送っていた。


「ねぇ、レイミィ。この前交尾してたけど……どうだったの?」
「どうって……、気持ちよかったですよ?」
「そ、そっ、そういうことじゃなくてっ! その……妊娠したのかってことっ!」
自分から聞いておいて、純真なグレーテはそのレイミィの返答に真っ赤になって返す。
「ああ、してなかったです。残念ですが」
グレーテはほっと胸を撫でおろした。
正室である自分よりも先に、側室のレイミィに世継ぎを作られたんじゃ、たまったものではない。


「もうそろそろいいんじゃないですか? カティアさんもマサカゲ様も待ってますし」
「そうね。帰りましょう」
グレーテは木から飛び降りて、果物が詰まったカゴの一つを背負う。


「もう随分と、ちゃんと歩けるようになったね」
「はい! マサカゲ様やグレーテに手伝ってもらったおかげです!」
レイミィは人間の身体に慣れず、しばらくは歩くのもままならなかったが、ようやく自分のものとして自在に操れるようになっていた。


「これなら、人間の姿でも交尾できるかな……」
レイミィがそんなことを言うので、グレーテはまたも顔を真っ赤にして、一瞬蹴躓いてしまいそうになった。
「なっ、なんてこと言うのよっ」
「ふふ、冗談です。グレーテ、かわいいですね」
バカにされたみたいで、グレーテは苦い顔をして、少し前を歩くレイミィを追った。



「やっぱりこの姿が一番だな」
「あなたはもう少し、魔術の使い方を学んでください。そうすればきっと、皆から慕われる偉大な魔術師になれますよ」
木造の家屋の中で、正景とカティアは夕食の準備を進めていた。


「いいんだよ、そんなのならなくて。オレはあの二人がいれば、それで十分なんだから。あ、もちろんカティアもね」
「取ってつけたように言わなくていいです」
機嫌を損ねてしまったのかどうかはわからないが、カティアの口数が減ってしまった。


「でも、オレは本当に幸せなんだよ。元の世界を捨てても、ここの世界を選んでよかった」
「エルナ様かレイミィかは、選べなかったですけどね」
「そう言うなよ。仕方ないだろ」


すると、ドアが開き、二人が帰ってきた。
「ただいま~」
「おかえり、グレーテ、レイミィ」

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