姫騎士とペットなオレ

エルトベーレ

第14話 人間とモンスターの間で揺れる心

みんなはすぐに見つかった。というのも、レイミィがオレの匂いに気づいて二人を連れてきてくれたのだ。


「コット〜ンっ!! よかった、無事で〜!」
グレーテにぎゅーっと抱きしめられる。
『コットン様、会いたかったです!』
なかなか放してくれないので、レイミィが嫉妬してグレーテの足を揺さぶっている。


「とりあえず、ゆっくり休んで」
オレは彼女らが泊まっている宿屋に連れられ、部屋のベッドに寝かせてもらった。


疲れてないつもりだったけど、目を閉じれば、そのまま深い眠りに落ちていった。


――オレの魔力は無尽蔵。願いを叶える願望器でもある。
魔術にできないことは無理だろうけど、何ができないのかはわからない。
ただ、剣の姿になれるのなら、人間の姿になることもできるのだろう。


そしてあわよくば、元の世界に戻ることも……。


だが、元の姿に戻ったとして……レイミィはどうする?
あの子はこんなオレを慕い、愛してくれた。初めてだった。真剣にオレを愛してくれたのは。
そんなレイミィを捨ててでも、オレはグレーテを選ぶのか? それでいいのか?


でも、オレはグレーテを諦めきれない。それに、人間としての生活も。
人間だったことを忘れて、モンスターとして生きるなんて……。


夢の中でまで、オレは悩まされていた。



目が覚めた。いつもなら寝坊するはずのオレが、誰よりも早く目覚めたのだ。
いや、正確にはカティアはそこにはいなかった。律儀で忠信深い彼女のことだ。たぶん早くから起きて、見回りにでも行っているのだろう。


オレの身体には、グレーテの腕が絡められている。抱き枕にでもされているようだ。
そして隣を見れば、幸せそうに眠るレイミィ。


今まで考えてこなかった、いや、考える余裕なんてなかった現実を、突き付けられた気分だ。
オレはどちらかを選ばなきゃいけない。


思い出せ。オレは晴れて中学に入学するんじゃなかったか? オレの名前はコットンじゃない。天城正景だ。
オレは、人間だ。


『んっ……あ、おはようございます、コットン様』
目を覚ましたレイミィが、オレににこやかな笑顔を向ける。
『ああ……おはよう』
『……どうかされました? 体調が優れないのですか?』
少し暗い返事になってしまったかもしれない。
『大丈夫。寝起きだったから』
うまく誤魔化せたかはわからない。でも、レイミィはそれ以上何も言わなかった。
何も言葉を交わさずに、ただオレのそばで、オレに寄り添っていた。


「ん~、ふわぁ~。あれ……コットン? おはよう。今日は早いね」
グレーテも目を覚ましたようで、大きく伸びをする。


彼女らの所作一つひとつを見るのがつらい。
どちらかを選ぶということは、どちらかを選ばないということ。選ばれなかった方は、どうなるのだろう。
まぁ、グレーテはオレとレイミィがくっついても、オレが幸せなら喜んでくれそうだけど。


そこへ、カティアが息を切らして戻ってきた。
「エルナ様、大変です! 父王様がっ!」


決断の時は迫っていた。

「姫騎士とペットなオレ」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く