姫騎士とペットなオレ
第12話 強奪
「おかえり、カティア」
「エルナ様……、なぜクラビーが増えているのです?」
カティアは呆れたようにため息を吐きながら、オレとレイミィを見下ろした。
「コットンの恋人なんだって。さっきね、その……こ、交尾、してたよ?」
「たかだかモンスターの交尾くらいで、何を興奮なさってるんですか?」
「してないよっ!」
カティアは手に提げた布の袋から、果物のようなものを取り出し、オレとレイミィの前に並べた。
オレが視線で確認を取ると、どうぞ、と少し表情を緩めた。
『あの人はカティアって言って、グレーテの家来なんだ。怖いのか優しいのかよくわからない人だよ』
『そうなんですね』
オレとレイミィは果物に食いつきながら、そんな話をする。
「エルナ様、この先に町が見えました。今日はもう遅いので、明日、そこに向かいましょう」
「そうね。お父様の追っ手が来てないといいけど……」
不安そうなグレーテのそばに寄り添ってあげたかったが、レイミィが身体を寄せてきたので、オレは彼女の隣で眠ることにした。
はっと目が覚めると、もう日は高く昇っていた。しかも、周りは一面の花畑。
目が覚めたら花畑って、なんか不吉だよな……。
『コットン様、おはようございます』
大丈夫だ。レイミィもいる。死んだわけじゃなさそうだ。
『おはよう。起こしてくれてよかったのに』
『起こしましたけど、よく眠ってらしたので……』
起きなかったってわけか……。昔から、オレは寝坊する癖があるからなぁ。
「じゃーん! できた!」
気がつけば、そばにグレーテもいた。グレーテが手に持っていたのは、花で作った輪っか。
それをレイミィに被せてあげている。
「う〜ん! かわいい! ほら、コットンも何か言ってあげなよ」
『かわいいよ、レイミィ』
『コットン様ったら〜、もぅ〜』
レイミィは嬉しそうに身体をくねらせながら、頬を染めている。
しかし、幸せな時間は長くは続かなかった。
「やっと見つけたぞ! 試作体!」
そう叫びながら、白衣の男たちが森から現れた。その後に続いて、ゴホンヅノカブトのような五本の角を持った水牛のようなモンスターが、花を蹴散らしながらついてくる。
「何ですか、あなたたち!」
「お嬢様、お下がりください!」
例にもよって、カティアがグレーテをかばう。
「お嬢さん方に用はない。私達が用があるのは……そこのクラビーだ!」
と、オレの方を指差した。
えっ、オレ?!
「逃げて、コットン!」
『レイミィ、グレーテのところへ。早く!』
まずはレイミィを逃がし、オレはその逆方向へ走る。
「待て! 逃すか!」
水牛のようなモンスターが、オレに向けて突進してくる。
咄嗟に障壁を張って直撃は防いだが、衝撃までは防ぎきれなかった。体重の軽いオレは吹っ飛ばされ、木に激突した。
「コットンっ! やめてーっ!」
「お嬢様!」
グレーテがカティアを振り切り、白衣の男に斬りかかる。
しかし、水牛のようなモンスターに、簡単に突き飛ばされてしまった。
「お前たちに用はないと言っただろう。おい、さっさと試作体を回収しろ」
白衣の男は部下と思われる者に命令し、オレは袋のようなものに押し込められた。
グレーテの泣き叫ぶ声が、だんだん遠ざかって聞こえた。
「エルナ様……、なぜクラビーが増えているのです?」
カティアは呆れたようにため息を吐きながら、オレとレイミィを見下ろした。
「コットンの恋人なんだって。さっきね、その……こ、交尾、してたよ?」
「たかだかモンスターの交尾くらいで、何を興奮なさってるんですか?」
「してないよっ!」
カティアは手に提げた布の袋から、果物のようなものを取り出し、オレとレイミィの前に並べた。
オレが視線で確認を取ると、どうぞ、と少し表情を緩めた。
『あの人はカティアって言って、グレーテの家来なんだ。怖いのか優しいのかよくわからない人だよ』
『そうなんですね』
オレとレイミィは果物に食いつきながら、そんな話をする。
「エルナ様、この先に町が見えました。今日はもう遅いので、明日、そこに向かいましょう」
「そうね。お父様の追っ手が来てないといいけど……」
不安そうなグレーテのそばに寄り添ってあげたかったが、レイミィが身体を寄せてきたので、オレは彼女の隣で眠ることにした。
はっと目が覚めると、もう日は高く昇っていた。しかも、周りは一面の花畑。
目が覚めたら花畑って、なんか不吉だよな……。
『コットン様、おはようございます』
大丈夫だ。レイミィもいる。死んだわけじゃなさそうだ。
『おはよう。起こしてくれてよかったのに』
『起こしましたけど、よく眠ってらしたので……』
起きなかったってわけか……。昔から、オレは寝坊する癖があるからなぁ。
「じゃーん! できた!」
気がつけば、そばにグレーテもいた。グレーテが手に持っていたのは、花で作った輪っか。
それをレイミィに被せてあげている。
「う〜ん! かわいい! ほら、コットンも何か言ってあげなよ」
『かわいいよ、レイミィ』
『コットン様ったら〜、もぅ〜』
レイミィは嬉しそうに身体をくねらせながら、頬を染めている。
しかし、幸せな時間は長くは続かなかった。
「やっと見つけたぞ! 試作体!」
そう叫びながら、白衣の男たちが森から現れた。その後に続いて、ゴホンヅノカブトのような五本の角を持った水牛のようなモンスターが、花を蹴散らしながらついてくる。
「何ですか、あなたたち!」
「お嬢様、お下がりください!」
例にもよって、カティアがグレーテをかばう。
「お嬢さん方に用はない。私達が用があるのは……そこのクラビーだ!」
と、オレの方を指差した。
えっ、オレ?!
「逃げて、コットン!」
『レイミィ、グレーテのところへ。早く!』
まずはレイミィを逃がし、オレはその逆方向へ走る。
「待て! 逃すか!」
水牛のようなモンスターが、オレに向けて突進してくる。
咄嗟に障壁を張って直撃は防いだが、衝撃までは防ぎきれなかった。体重の軽いオレは吹っ飛ばされ、木に激突した。
「コットンっ! やめてーっ!」
「お嬢様!」
グレーテがカティアを振り切り、白衣の男に斬りかかる。
しかし、水牛のようなモンスターに、簡単に突き飛ばされてしまった。
「お前たちに用はないと言っただろう。おい、さっさと試作体を回収しろ」
白衣の男は部下と思われる者に命令し、オレは袋のようなものに押し込められた。
グレーテの泣き叫ぶ声が、だんだん遠ざかって聞こえた。
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